22日、NTTジャパンラグビーリーグワン、東芝ブレイブルーパス東京が定例会見を行った。既にプレーオフ進出を決めているチームは第14節でこれまでプレータイムが少ない選手を中心に構成しみ三重ホンダヒートと対戦。終盤まで苦しい展開だったが8-7で接戦に勝利し、選手層の厚さを証明した。
会見にはトッドブラッカダーHC、怪我から復帰しヒート戦にリザーブから出場したリーチ・マイケルキャプテンが登壇し、チームの現状そして第15節で東京サンゴリアスとの「府中ダービー」に向けた意気込みを話した。
東芝ブレイブルーパス東京 トッド・ブラックアダーHC
今季の自分たちのチームを誇りに思っています。スタッフ間で、昨日の試合の前に、3週残した段階でPO決められることができて素晴らしいと話した。2つのカンファレンスに分かれて戦っているが、自分たちのカンファレンスの方がタフかなと思っていたので、トップ4決めるのは簡単ではないかなと思っていました。
ここまでのゴール達成で3つのことが大事だったと思っています。まず選手層です。昨日の試合でも選手の変更を加えています。そこで何とか勝てたのは自分たちの信念、選手層があるということが示せたと思います。あとは内部での競争力が高まっている証拠だと思います。
2つ目はチーム内でのリーダーシップです。自分たちのここまでの戦いは、すごく厳しい試合でも何とか勝てた。大事な瞬間、瞬間をものにできたのは、リーダーシップが発揮できているからだと思います。昨日の試合もその証だと思います。
最後は一貫性です。自分たちにとって、すごく大事なものです。すべてにおいて大事な瞬間、瞬間を戦うことができている。その中で喜ばしいことは、まだまだこれから成長できる、積み上げの段階であることが嬉しいと思います。
そしてサンゴリアスと土曜日に試合ができる。府中ダービーですし、ランクで2位と3位が対戦する。自分たちにとってもいいチャレンジだし、モチベーションの高い状態です。ホンダ戦では多くの選手を替えて起用しました。いつも出ている選手はうまく休めているし、今週末の試合で起用することになる。チーム内での競い合いがすごく高まっているので今週末の試合を非常に楽しみにしています。
――残り2試合、ここを改善したいというところは?
フォーカスしたい、良くしたいのはセットピースです。ラインアウトをこの3週間で立て直したい。あとはディフェンス面です。自分たちのエッジでのディフェンスを改善していかないといけない。アタックに関してはバリエーション豊富ですし、イノベーションを持ってできている。ただプレーし過ぎてしまっている傾向がある。オフロードとか、選手たちがワクワクし過ぎてミスにつながっている。より自分たちにフォーカスを絞っていきたい。
――昨季5位で、今季2位ということで良くなっていることで満足していることは
昨季5位から2位でいるのはアタックでストライクができているし、総合的にディフェンスでラインスピードが出せているところはよくできている。昨季と違うのはモウンガがいるし、リーチを含めて2人が若い選手を引っ張るリーダーシップがあるところです。
――SOモウンガとFLリーチについて
リッチー(モウンガ)は昨晩帰国しております。この数週間メンタル的に大変な状況だったので、フィットネス、身体の状態を評価したい。だから必要なトレーニングができているか確認して対応したい。リーチが戻ってこられて40分プレーできたのは自分たちにとってポジティブなことです。準備できているのでしっかり使うつもりです。身体的には問題ありません。素晴らしい選手なので楽しみにしています。
――モウンガとリーチがいない中で、負けなかったということはチームの成長につながった?
かなり成長できたと思います。1人、2人に頼らないといけないのは正しい考え方ではない。選手層を厚くすること、育成することが大事だと思っているので、選手が常に準備できるようにしたい。トランプで例えるなら、手中にないカードのことを考えるのでなく手中にあるカードで考えたいといつも思っています。ワールドクラスの2人がいますが、その選手たちに頼るのではなく、他の選手を育成して、チャンスが来たときに上手くプレーが発揮できるように信じているという姿勢を見せていきたい。自分たちのいる選手をうまく使っていきたいのが自分たちの考えです。
――日本で長く指導してきて、リーグワンが進化していると感じる?
100%同意します。周囲の人が思っているよりタフなリーグだと思います。昨日、ホンダさんが素晴らしいラグビーをしてくれましたし、昨季トップ4のクボタ、トヨタ、神戸、静岡も素晴らしいラグビーをしています。スタンダードが上がっているし、来季、どんどん競い合いが激しくなっていくと思います。
リコーと対戦したときも、リコーがかなりいいプレーして、素晴らしいチームだと思いましたし、ホンダもいいラグビーをした。リーグワンに上がってくるチームもタフになるので、本当にいいチームではないと難しいという感想です。
――リーグワンにはトップレベルのコーチ、質の高い選手が集まっています。
日本人選手の層を含めて日本にいるカテゴリーAはいいラグビーをしているし、海外から来る選手に匹敵するすばらしい選手も多くいる。そういう選手が育っている部分が大きいかなと思います。準備の部分で、一貫性を含めて、そういう部分がどんどんよくなっている。そういうことがリーグを良くしていることにつながっている。世界のベストの選手が集まっているのがリーグを良くしている。本当に世界と比べてもコーチングも含めて素晴らしい選手が揃っているのでワクワクするリーグだなと思います。
――リーグワンはスーパーラグビーと違い、ゲームがタフだが移動の負荷が少なく、もっと違う環境でやったほうがいいのでは?
一つ言えるのは、今までやったことがない経験をすると人生の視野が広がることがある。スーパーラグビーは移動が長いので準備する時間が減る。準備を正しくしないといけないし、時差の部分や睡眠をどうとるのかと学ぶ部分も大きい。スーパーラグビーは移動が多くなり、準備する必要が高くなります。
逆に日本のラグビーの良さというのは、しっかりした準備ができるということです。例えば週末、鈴鹿に行きましたが、自分にしてはたいした移動距離ではないが、それしか知らない選手には遠く感じるかもしれません。いつもと違うことを経験することで視野を広げることは大事です。
――サンゴリアスは準決勝でも対戦するかもしれない相手です。どんな考えで臨むか。
すごいライバルなので準備としては逆にやりやすいかなと思います。まず自分たち自身にフォーカスしてパフォーマンスをしっかり出すことが重要です。いいパフォーマンスをした上で、できる限りの学びを得たい。だから、準決勝で当たるときにさらに準備ができている状況にしたいと思います。
テストマッチの一つのようなワクワクした試合になると思っています。両チームとも強みや弱みを露呈する試合になるのかなと思います。内面のモチベーションが大きい。いかに一貫性を持った状態でできるか。一つ言えることはサントリーもアタッキングラグビーだが、これまでサントリーサンゴリアスとは、いつも素晴らしい試合になっているので、今週末も素晴らしい試合になると思っています。
自分たちのホームゲームだし、自分たちのパフォーマンスを会場に足を運んでくれた家族、ファンに見せたいと思います。そしてファン、サポーターだけでなく、ここまでハードワークしてくれたスタッフにも素晴らしいラグビーを見せたいと思っています。だからこの対戦が非常に楽しみです。
――サンゴリアスで、この選手に注目している、ケアしていると思っている選手は?
結論から言いますと、一人だけでなく複数、脅威になる選手がいる素晴らしいチームですので、自分たちの内面に目を向けていきたい。セットプレー、ディフェンス、ボールを大事にして、自分たちの最高のパフォーマンスをすることが大事です。彼らのスクラム、ラインアウトも非常にいいですね。
東芝ブレイブルーパス東京 FLリーチ マイケルキャプテン
チームの状況はとても良くて、昨日、割と若い選手を出して、80分苦しかったが勝てて良かった。府中ダービーに向けて、盛り上げて、チームをさらに成長させていきたい。
――現在のコンディションは?
キヤノン戦で肉離れして、6週間くらい休んでリハビリしていた。今は前よりいい状態でいます。2週間前から状態良くて、若い選手を出したり、再発しないように最大のケアをして、外からチームを見て良かったなと思います。若い選手が出て、(原田)衛もゲームキャプテン、ゲームリーダーもいい経験ができた。練習の中からスタンダードキープしながら、試合中にみんなが同じ方向性に頑張りたい。
――ゲームに出ない時間があったが、今季のリーグワンはどんな感じ?
トップリーグも含めてリーグワンは今季が一番厳しい。どの試合でも100%準備して、100%のメンタリティーを持たないと負ける。昨日、近鉄が勝ったり、ホンダ戦も1点差 で勝ったり、そういう試合が増えてきて、トップと下の差が迫ってきていると思います。
――いい指導者や海外からの選手も来ています
トップレベルの指導者、コーチだけでなくSCコーチも日本に集まってきて、すごくレベルが上がっているのを感じている。昔は30オーバーの選手が来ていたが、現役の代表が来ている響が大きい。試合を見ていて楽しい。スーパーラグビーを見るより(リーグワンの方が)楽しい。スキルのレベルが高いし、インプレーが長くて、今は見ていて楽しい。
――昨季5位で今季2位。成長を感じている部分は?
セットプレーの安定が良くなってきている。あと、セットからの3フェーズでトライを取っているシーンが多いので、それが原因かな。練習の質も上がって厳しくなっているので、それも関係しているかなと思います。
――SOモウンガの良さについて
リッチーだけでなく(シャノン・)フリゼルも勝ちたいという意欲が常に溢れていて、リッチーの良さはゲームの理解だったり、分析が良くて、こういう相手にはこういう戦術をたてた方がいいのがいい。試合中のマネジメント、蹴った方がいいボール持った方がいい、カウンターした方がいいというベーシックな判断が他の選手より優れているのかな。クルセイダーズ出身なのでカウンターをしたがるので、それに慣れるまでに少し時間がかかった。
今は割とセイムページで見られるようになったと思います。彼が日本に来て5試合くらいで話していて、スペースが見えすぎて自分で行きたがる、スーパーラグビーよりもスローモーションに見えると言っていた。それで、自分で行ってもいいし、周りを使ってもいいがバランスが難しいと言っていた。自分の強みを出してほしいとだけ伝えています。
――原田選手がゲームキャプテンを何戦かしました。
(原田)衛も若くて、キャプテンとして、僕がいない間、いい経験ができた。プレーだけでなく、チームの雰囲気だったり、練習中のスタンダードを見たり、レフリーとのコミュニケーションだったり、すごくいい経験になったのかなと思います。彼を外から見ていて、プレーはもちろんよくて、ハードなところで必ず顔を出すし、これから、どんどん成長しないといけない。
これから日本代表に入ったりするので、僕もサポートしたいなと思います。いないときリハビリばっかりやっていたので、練習中の姿をあまり見られていなくて、でも(原田に)大変なので早く帰ってこいと言われました。(全体練習復帰は)2週間前からやっています。
――リーグ戦は残り2試合。プレーオフが決まって、どういうところを上げていきたいか?
セットプレーの安定。2シーズン前からスクラム、ラインアウトから上手く出せなくて苦しい試合でした。まずその2つが安定してきたので自信があります。もう一つは規律。1つのペナルティがすごくいたいので、どうコントロールするのか。プレーオフに向けて、そこに力を入れていきたい
――社長曰く、タオルの売り上げがモウンガに負けて2位となりましたが…
悔しいですね(苦笑)。リッチーはスター性もあって、シーズン終盤に向けて、どっちがNO1になるか楽しみにしています。
――サンゴリアスと対戦するが、POでまた対戦する可能性もあります。
もちろん、2回やるというのはあまりないですが、テーマは勝つことです。勝って勝って、メンバー変更したりとか戦術を見せないより、いい準備して勝って、次の試合も勝つ。サンゴリアスもギリギリの試合もやってきたので、面白い試合になると思います。
両チーム調子いいし、府中のファンから絶対見に行くから勝ってねという声も入って来る。個人的に府中ダービーをすごく楽しみにしています。接点で自分たちがどれだけ前に出られるか、どれだけ止めることができるか、そこが鍵になってくると思います。規律をしっかり守れば、セットプレーの安定は自信があるのでそこからゲームを立てていけばいいと思います。
――サンゴリアスのFLケイン選手とは連絡を取っている?
(試合に)出ることはたぶんないと思いますが、連絡は取り合っています。(プレーオフに出るかどうかは)結構、シビアなケガなので聞かないようにしています。前々回、山本選手と対戦したときに、一発で足いかれたりしたので、フットワークの練習をしていきたい。バックロー全員、強い選手もいるので楽しみにしています。
――昨日のパフォーマンスについて。ギリギリで勝ったことは大きかった?
自分自身の調子は、あまりボール持ったり、ディフェンスで目立つことなかったが、体力面では問題なかった。東芝がギリギリで勝ったのはいい自信になると思います。接戦で、雨の試合で方向性がブレたりしたが、最終的に同じ方向性にみんなが向いて落ち着いた状態でプレーできたのは今後につながると思います。
――プレー時間が短い選手も出場したが、この選手が伸びているなと感じているのは?
ラウシ選手です。試合ごとに成長しているし、どんどん試合に出ればいい選手になると思います。中尾選手も久々の試合で、雨の試合は難しいがゲームコントロールできて、ハッピーだと思います。(田中)元珠選手も出番なかったが、今後、東芝のスター選手になると思います。
――ショートウィークでサンゴリアス戦です。準備期間に違いがありますが?
不安はないです。やることは変わらないので、質を高くやるだけです。練習が1日少ないが、練習の質を高くすれば自信をもってできると思います。