奥井章仁・初キャップ、バックローをやる理由「FLが好きやったんで。痛いところ、しんどいところを愚直にやるのが好き」 | ラグビージャパン365

奥井章仁・初キャップ、バックローをやる理由「FLが好きやったんで。痛いところ、しんどいところを愚直にやるのが好き」

2025/09/10

文●編集部


9日、PNC準決勝・トンガ代表戦に挑むラグビー日本代表。前戦のアメリカ戦で初キャップを獲得したFL奥井章仁(トヨタヴェルブリッツ)がオンライン取材に応じた。

――デビューした感想は


メンバーに選ばれたときはすごく嬉しかったですし、試合前に選手にも話したが、家族がいろんな犠牲を払ってくれて、いろんな人のサポートがあって今、こうやってここに立てているのが嬉しい。いろんな人に支えてきてもらったので、そういう人のため、このチームのためにできることをやろうと思った。

(誰に感謝を)特に親もそうですが、時間を犠牲にしてくれたり、自分に対して中学校時代とかラグビーのスパイクとか欲しいものが増えていく中で、文句言わず買ってくれたり、買い物に付き合ってくれたりした。高校3年のとき食事にこだわっていたときに家族がサポートしてくれた。1つ上の姉がいますが、僕は生意気なんですが、わからないこととかをやさしくやってくれたり、家族、姉、おじいちゃん、おばあちゃんとかいろんな人が助けてくれたからこそ、ここに立てているのかな。

(初キャップを)取った後、僕みたいなサイズの日本人が代表で頑張り続けることは、僕以外にもすごく勇気づけられると思っているので、そこに向かってもう1回、頑張っていきたいと思っています。

初キャップを果たした奥井章仁

初キャップを果たした奥井章仁

――出場時間は多くなかったが、奥井選手の持ち味を出せたのでは?


実際、リザーブでプレーすることがあまりなかったので、なかなか難しいところもあった。でも、何分出ようが自分のパフォーマンスするところにフォーカスした。30分、40分、10分でも変わらず 国際試合初めてだったので、自分を見せることが次につながると思っていた。10分だけだったが、その中で自分をどう出すかを考えてやった。


――アメリカ代表と対戦した印象は?


僕自身の感触はすごく良かったかな。タックルも決まったし、ジャッカルはあと1つ取れそうなところで取り切れなかったところは、このサイズで生き残るには、数少ないチャンスをどうものにするか、大切にしているところなので、もう少し頑張りたい。リーグワンでもレベル高い中でできているので、変わらず強度が高かったが良いチャレンジができたかなと思います。

――チームとして


ゴール前でスコアされてしまったところは一つ反省点です。特にFWは相手のプレッシャーを受けて、我慢仕切れずスコアされてしまった。ペナルティーのところは前の試合から課題なので一つ一つ修正していきたい。そう(ジャッカル)のチャレンジは良かったが、判断のところはやっていかないといけない。僕も気を付けているところですが、カナダ代表戦で課題となったオフサイドのところは1週間で修正できていたので、(アメリカ代表戦の課題を)修正していきたい。

(次の)トンガ代表戦はフィジカルバトルだと思うので、ゴール前のフィジカルで絶対受けない。僕らはすばやくプレッシャーをかけていくという精度を磨き上げていきたい。

――この身長でもFLとしてやり続ける覚悟を持ったのはいつくらいだった?


大学生のときくらいですかね。(帝京)大学に入学するとき、実際にHOになるか、このままバックローでやるか悩んでいた部分もあった。でも帝京に入って、FLでやっていけたので、リーグワンでもFLでやっていきたいと思っていた。誰かと言われたわけではないが、僕の中で覚悟が決まった。今のバックローはサイズを求められるが、僕みたいに身長が足りないところで、そういうのを超えてやっている姿を見せるのは、僕もすごく覚悟決めたときにそう思ったので、そこは大切かな。


――リーグワンで、海外選手がいる中で バックローをやる覚悟を持った決め手は?


自分の中ですかね。FLが好きやったんで 誰よりもハードワークして、チームのために体を張って、痛いところ、しんどいところを愚直にやるのが好きですし、僕のタイプに合っていると思う。そこで頑張っていきたいと思ったし、僕にしかないものを出していこうと思って(FLとしてやっていこうと)決めました。

――サイズがなくてもやれるために意識していること、やっていることは?


僕は最初はすごく質より量をやるタイプだった。帝京大も激しい練習が多かった。練習はいっぱいしました。ディフェンスもアタックも、食事のところもこだわったし、ウェイト(トレーニング)もこのサイズに関係なく、FWで一番持っているようになりたいというのがあった。最初はとにかくいっぱいやりました。いっぱい練習しました。そこがすごくあって 土台がすごい固まって、質の部分、細かいタックル、ブレイクダウンの質を大学、リーグワンでどんどん、一つ一つ学べていっているので、一日一日、ラグビーが学べるのが楽しいですし、僕自身、負けず嫌いでどんどんやっています。


――デンバーは標高が1,600mくらいで、空気薄い?


練習やってみると(1,300mの)菅平と似ている感じですかね。息は上がるが、僕ら菅平は慣れているので、そこでも変わらず自分たちのラグビーをやる、何か変えるという感じではないですね。

――トンガ代表はW杯出場を決めました。 どんなチームという印象でしょうか?


相手はフィジカルチームなので、僕としてはプレッシャーをかけて、フィジカルを出す前にプレッシャーかけていきたい。これは変わらずですが、超速ラグビーのところで、テンポ速くどんどん動いていく、自分たちから仕掛けていくところにフォーカスしています。


――JAPAN XVからの菅平合宿からジャパンデビューまで、何を高めてきたか?


僕としてはディフェンスのところで、自分のラインスピード上げてタックルでドミネートするところと、あとジャッカルの部分だと思っている。この前の合宿はケガがあったりして、なかなかチャンスが回ってくることがなくて、自分自身も出られないということが初めてで、難しい感情だった。そこで腐るか腐らないかもあるし、僕自身はそこを変えたいと思ってここに来ているので、そういうところを評価されて選んでもらったので、そこを変わらずやり続けてきたい。もっともっと7番として存在感のある選手になりたいと思っている。そこが合っていけば、試合に出続けるのではないかなと思っています。

――憧れた選手はいたのか?


日本人でFLとして(試合に)出ている人は 実際この立場になって難しさを感じていますし、トヨタに戻ってもそういうところで頑張っている同期の三木も同じサイズでやっていると思う。そういった三木の頑張りは僕も影響される部分もありますし、負けたくないという気持ちもすごく強くなる。自分自身も今回、選んでもらっている立場でもあるので、そういったところをアピールしていきたい。


――今までの日本代表や目標とする外国人で励みになる選手はいるのか?


そんなに、誰かというのはないですね。それこそ去年、トヨタでいっしょにやった(マイケル・)フーパーとかは、オーストラリア代表で100キャップ超えているのは本当にすごいと思います。何か自分の武器があるからこそ信頼を得て、(試合に)出続けていると感じている。僕はまだ武器が荒削りな感じがすると思っているので、そこをドンドン、ドンドン削って鋭くしていって、誰にも負けないものを身につけることができたら試合に出続けることができると思います。

――エディー(・ジョーンズ)さんに言われていることは?


ブレイクダウンのところが多かった。ジャッカル、ボールサポートのところで突出しいてほしいと言われていた。そこももうちょっとアピールすることは課題ですが、ディフェンスは手応えあったので、ブレイクダウンを磨いていきたい。(試合のパフォーマンスは)まだ話していないです。


――宮崎合宿ではFLガンターと同部屋だったそうですね


本当に、すごく優しくしてくれましたね! 僕、結構シャイなので、ラグビー以外のときのコミュニケーションは得意じゃないですが、気さくに話し掛けてくれた。僕が見ていたドラマがあって一緒に見たりして楽しかった。良い先輩ですね!(そのドラマは)海外のドラマで、Amazonプライムで「私たちの青い夏」という恋愛もので、男2人で見ながらキャーキャー言っていました(笑)。

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