3日、三菱重工相模原ダイナボアーズは昨年のチャンピオンチームである東芝ブレイブルーパス東京を迎えホスト最終戦を戦った。前半風下の状況でありながら、エピネリ・ウルイヴァイティのトライで先制する幸先のよいスタートを切る。

復帰戦でエピネリ・ウルイヴァイティがいきなりトライ
それでもブレイブルーパスの粘り強いディフェンスと、SOリッチー・モウンガの多彩なプレーでエリアを奪われると、連続トライを許し、前半を7‐26とリードされて折り返す。後半の序盤で、イエローカードで14人となると、さらに2つのトライを奪われリードを広げられてしまう。

後半3分スティーンカンプにイエローカード
それでもWTBホネティのトライから息を吹き返すと、連続トライで意地を見せた。結果は28‐45で勝利を飾ることができなかった。それでも、トップ4チームを相手に自分たちの時間帯を作れたことは大きな収穫。さらにこの試合では3人の選手が初キャップを飾り、若手選手もしっかりと育ってきていることを示した。

後半22分タウモハパイホネティのトライから反撃開始

後半25分SH中森隆太のトライ

ハニテリ・ヴァイレア

佐川奨茉の初トライ
最終節は、浦安D-ROCKS。すでに入替戦に進むことが決まっているものの、ここ数試合、上位チーム相手にもスコアできるアタック力を見せているので決して侮れない。勝利すれば昨年の6勝を超え「新たな歴史」を作ることができる。
グレン・ディレーニHC、吉田杏ゲームキャプテンの試合後コメント、さらに初キャップを飾った、WTB加島DJ、FL服部航大、さらにスクラムの救世主、PRクフチャ・ムチュヌの3選手に話を聞いた。

岩村昂太キャプテンと安江祥光
三菱重工相模原ダイナボアーズ グレン・ディレーニHC

グレン・ディレーニHC
前半の20分と最後の20分、我々がどれだけいいチームになれる可能性があるのか見せることができたと思います。東芝はチャンピオンチームのごとく、チャンスのときに遂行力がありました。我々が小さなミスをしたら、それを点につなげていました。
この8900人のファンの前で我々が最後まで粘ってファイルできたところは、自分たちの良さを見せることができたと思います。もちろん色々と修正しなければならないところはありますが、23人の努力は本当に誇りに思います。

――初キャップの選手について
今日の試合でデビューした3人の選手、いずれも頑張ってくれました。彼らはこれまで努力をし続けてきて、シーズンの中盤あたりからずっと(メンバー入りの)手を挙げ続けてきて、チャンスを掴みました。こういう状況は、我々の選手層が厚くなっていきている証拠だと思いますし、3人に機会を与えることができて嬉しく思います。

東芝相手にも組み勝っている場面を何回か作った
――今日の試合ではスクラムが良かったのでは
シーズン通して、(スクラムは)課題の部分でもあったので、FW全員と、ベン・フランクスコーチが努力した成果だと思います。みんなが自分の役割を果たしていました。クフチャも3番として安定させましたし、石井も後半入ったときに安定されてくれた。そうすることで相手が22mに入るチャンスを少なくさせることができる。バランスが取れた試合をすることができる。FW全員がシーズン中努力をしてきた成果だと思います。
三菱重工相模原ダイナボアーズ 吉田杏ゲームキャプテン

吉田杏ゲームキャプテン
試合前にチャンピオンチームに対して、どれだけチャレンジできるか、自分たちのDNAだったり、一年間積み上げてきたものをどれだけ出せるか、それを遂行するだけだというメッセージをチームには送りました。
前半風もあり、我慢する時間帯も多かったですけど、そこで簡単なミスがあったり、個人でプレーする人がいたり、苦しい場面も多かったですけど、後半の最後20分は、誰も止めることができない、自分たちの素晴らしいラグビーができたと思います。それを80分間一貫性を持ってできればチャンピオンチームになれると全員が自信を持ったと思うので、ゲームキャプテンとしてそこは23人をすごく誇りに思います。

――後半の序盤はすごく重要だったと思います。先にスコアされて、イエローカードも出て、突き放されてしまった。振り返ってみるとどういうところがうまくいかなかったのか
ゲームには流れというものがあるので、一人少ない状態でどう規律を持って、自分たちのプラン通りにラグビーができるかというところが重要だと思うんですけど、14人になった中で、個々でプレーをしたり、小さなミスやズレが得点につながってしまったのかなと思います。

ディシプリンのところであったり、個々のプレーをしない、1on1のフィジカルのところで受けない、そういったことを全員にメッセージとして伝えました。
三菱重工相模原ダイナボアーズ PRクフチャ・ムチュヌ

クフチャ・ムチュヌ
東芝はスクラムがとても強いということは認識していたので、我々にとっていいチャレンジだと思って1週間準備してきて、それが遂行できた。違う試合だったら、こっちに吹いてもらえるようなスクラムもあったんですけど、それもラグビーなので。ただ、強い相手に対して、うまく止めることができた。

――ダイナボアーズのスクラムを立て直すということが入団時の使命だったと思いますが、そのとおりにスクラムが改善してきていますが、どの部分が良くなったのか?
まずはどういうスクラムを試合のかということを本当にみんなで話して、練習の強度もものすごく高くて、みんないいレベルで練習できているのがいいのかな。誰が出てきても、同じように組めたと思うし、フィフティ・フィフティのところでは今日は相手の方へいってしまいましたが、そこは我々がどういうスクラムをしたいという印象をどんどんレフリーに与えたら、今度はこっちに向いてくるかもしれないので、「印象をよくする」ということを意識しているのですが、そこはちょっとずつできているのかなと思います。

シャノン・フリゼルを止めるムチュヌ
――今日の相手は、現在トップのチームでしたが、戦った印象は?
相手は他のチームに比べて、遂行力のところがものすごく高くて、我々も最初の20分、風下の中でうまく止めることができて、プレッシャーをかける場面も多かったですが、相手がチャンスを最終的にスコアにできていた。そこは我々も次、成長したいところです。

――来週はナイトゲームになります。ナイトゲームはどうですか?
海外で、ダービー戦だとナイターの方が多くて、海外へ幾度に毎回ナータ―だったので、逆に自分的にはそっちの方が慣れてるよ。日本に来て、早い時間のキックオフに調整しないといけないというのは日本に来て一つ課題としてあったんだ。
来週は今シーズン最後の試合になるし、本当日本ではファンの方も含めて多くの方にサポートしてもらっているし、日本は大好きなんだ。だから、すごくいいパフォーマンスをして、良い終わり方ができるように来週、本当に頑張っていきたい
三菱重工相模原ダイナボアーズ WTB加島DJ

加島DJ
――初キャップの試合を振り返って
すごくタフなゲームでした。こういうタフになることはわかっていたんですけど、やっぱりチャンピオンチームというのもあって。でも押されないように。でも自分の自信にはなったかなと思います。
試合の入りは、最初の20分間は絶対点をいれようというふうに言っていたんでその辺はすごく良かったと思います。エリアマネジメントの部分で、50/22だったり自分たちの簡単なミスから相手にテンポがいっちゃったかなと思います。
――ホームゲームでのデビュー戦でした
メンバー外のときから、ファンの皆さんの熱さは感じていて、やっぱりグラウンドに立ったらそれがもっと感じて、周り見たら全部緑で、すごく感動しました。嬉しかったです。

――これまでメンバーに入るまでで、どういうところが足りなくて、どういう部分が成長できたことでこのチャンスを掴めたと思いますか?
本当に2年間、ディフェンスだったり、自信を持って決断するところだったり、プレー一つひとつに対して責任をもつということにフォーカスしてやってきました。1年目はそこができなくて、苦しい思いをして、やっとこうやって階段を登ってくることができたと思うので。これはぶらさずに今後も続けて、来年のプレシーズンも頑張って、来年もスタートメンバーをかちとりたいです。
――今シーズンはもう1試合残っています。まずは来週の浦安戦でメンバー入りですね。
はい!競争が激しいんですけど、その中でしっかり自分の色を出して、来週もかちとりたいと思います!
三菱重工相模原ダイナボアーズ 服部航大

後半の入りHIAで服部航大がいきなり負傷交代.
出場するタイミングがイレギュラーだったんですけど、これまで準備してきただけあって、グラウンドに立ったときはそこまで緊張しなかったです。一番緊張したのは、クラブハウスにいたときだったんで。
この1週間は、特別すごいことをやろうとせずに、プレシーズンから準備し続けて、自分がやってきたことを当たり前に出せたら多分ミスにはならないと思っていました。2年間、膝の怪我でずっとラグビーできてなくて、3年目の夏くらいからラグビーできるようになりました。そこから感覚を取り戻そうと思って、今年のプレシーズンでは自分の中でもいい状態でもって行けて、いつゲームに選ばれるかなと思いながら、気持ちだけは切らさずにやり続けたんで、やっとチャンスが回ってきて試合に出ることができてよかったです。

――初キャップについては?
メンバーに入った瞬間に母親と父親に連絡したら、「新幹線(予約)とるわ」って。今日もきてくれたんで嬉しかったです。
――(試合相手の)小鍜治悠太選手(天理大)とは学年でいうと・・・
自分が一つ上ですね。松永(拓朗)とも一つ上ですね。
――彼らは東芝ではキープレーヤーとなっています。意識しましたか?
特別、そこまでではないですが、やっとこの時が来たかと思って。小鍛冶とも試合終わった後、「やっとできたわ」って話をしました。
――話す時間はあったんですか?
試合終わってすぐ小鍛冶見つけて、話にいきました。
――何て話を?
「飲みに行こうや」って(笑)。酒大好きなんで。
――今日の試合では自分のパフォーマンス何%出せましたか?
50%ですかね。まだまだ成長できると思っています!