10日、NTTジャパンラグビーリーグワン第18節、首位の東芝ブレイブルーパス東京は、横浜キヤノンイーグルスに49‐28で快勝。ボーナスポイントも獲得し、レギュラーシーズン1位を決めた。指揮官、トッド・ブラックアダーHCは「全チームが東芝を食うぞ、という気持ちで向かってくる中で、苦しい展開でも諦めない、やめない、試合にしがみつくという成長が見えた」とチームを評価した。全18試合に出場したリーチ・マイケルキャプテンは、プレーオフにむけて「シンプルにどうやって自分たちの強みを出すかが大事」と試合後の会見で話した。
2025/05/10
文●編集部
東芝ブレイブルーパス東京 トッド・ブラックアダーHC

トッド・ブラックアダーHC(右から2番目)
選手たちのパフォーマンスを非常に誇りに思う。毎週言っているが、キヤノンさんは良いチームだとわかっていたし、嶋田選手が引退するということでモチベーションがあったことがわかった上で、自分たちが勝点5を取りにいくことを目指して、1週間準備してきたことが最終的にピッチに出させた。
今日の試合の流れは今季よくある展開になったのかな。前半良い形で入って、相手にプレッシャーかけ続けることができず流れが戻っていた。最終的には流れを取り戻した。チームのやっていることが選手の中に信念としてできている証拠かなと思う。
特に最後のボーナスポイントを確定させるトライは、今季の大半をK9(ノンメンバー)だったWTB桑山聖生だったので、非常に嬉しく思います。

桑山聖生のトライでブレイブルーパスはボーナスポイント
リーグワンは非常に競争力が高くなって、毎週、メンタルが試される大会になっていますが、リーチを含めたリーダー陣からノンメンバーみんな全員でしっかり戦ってきた結果かなと思います。
レギュラーシーズン1位は長いシーズンで勝ち取ったものなので、1位で終われたことをしっかり大事に噛みしめたい。ここからプレーオフがあり、まだ道のりが続くのでまずは来週1週間、休む権利を勝ち得たので、リフレッシュしてプレーオフに向けてエキサイティングなラグビーを見せたい。多くのファン、サポーターにも感謝を伝えたい。
――2週間の使い方は?
まず次の1週間は個人ベースで必要なこと、メディカル的な治療などをする。チームは木、金と集まって、ミーティングをして、あとは個人ベースの対応かなと思います。

――昨季王者となり、今季プラスになったことは?
昨季のこの時期よりも、大きな成長が見られたかなと思います。1つは、昨季は一昨年の順位を踏まえて、格上も格下もいて、相手と自分たちの力関係によってマインドセットがブレてしまうところがあった。
だが、(昨季優勝した)今季は自分たち以外の全チームが東芝を食うぞと気持ちで向かってくることに対して、必ずしも最後までやりたいラグビーをやれるとは限らない中で、苦しい展開でもあきらめない、やめない、試合にしがみつくという成長が見えた。
ラグビーに対する準備というDNAや良いリーダーがいて引っ張ってくれたことに現れていた。18節まで、毎試合、タフでフィジカルな試合にしっかり立ち向かってくれた。
レギュラーシーズンは終わったが、まだまだ選手たちはハングリーで、てっぺん取りに行くという気持ちがある。(リーグ1位通過は)15年ぶりというのは選手に話していなくて、週末の目の前の試合に勝ちに行くことに、こだわり続けるという成長が見えた。
日々、トレーニングする中で 選手層の厚さが確立してきた。いつの日か東芝を背負う若い選手たちが出てくることを楽しみにしています。

昨季から成長というところは、コーチ陣が替わったところもポジティブだし、ゲーム全体でいうと集客は、昨季より多くの方がスタジアムに駆けつけてくれているので、サポーターの声援も力になっている。
東芝ブレイブルーパス東京 NO8リーチ・マイケルキャプテン

リーチ・マイケル
今日も雨にもかかわらずたくさんのファンが来てくれて感謝しています。シーズンを通して、ラウンド1から18まで、鹿児島、三重、札幌、遠いところでもブレイブルーパスのファンが来てくれて感謝しています。
ファミリーロードは今日で最後でしたが、ファミリーロード(のファン)を覚えたりしていて、最後に優勝してみなさんに会えるようにしたい。
今日の試合は先週同様に、自分たちにフォーカスして勝点5を取ろうとしてやった。自分たちのディフェンスでもうちょっと前に出て止めて、もう少しタックルのところの精度を上げないといけないと思います。
これで1位通過して、リーグ戦が終わって、少しブレイク挟んで、5月24日に秩父宮で準決勝が始まります。その試合に向けて、体をリフレッシュして、負けたら終わりというプレッシャーを感じながら準備していきたい。
次の試合は負けたら終わりなのでしっかりやっていきたい。今まで18ラウンド、たくさんのファン、たくさんの試合をやってきて、その積み重ねをすべて24日にぶつけたい。
――最後、ラストプレーで勝ち点5取れたことは
今シーズン、最後で蹴って終わるというより、チャンスが来たらトライを狙いにいくマインドでやっています。自分たちのためにもあるし、みなさんが見に来ているのでアタッキングという強い意志を見せる場だと思っています。最後、モールを組んで、キックでトライを取れたのは結果的には良かった。マインドセットはめちゃくちゃよかった。
――2010-11シーズン以来となるリーグ1位通過です。
特に、試合前から意識はしていなかったが、でも間違いなく強い東芝が復活したなという感じがします。トシさん(廣瀬俊朗)がキャプテンの時はずっと強い東芝がありました。大事なことは『ずっと上位にいること』です。連覇がかかっているので、強いメンタリティーを持ってやりたい。
――1位と2位に違いはある?
1位になると(準決勝が)土曜日、2位になると日曜日で準備が1日増える、リカバリーが増えるので違いはあります。準備にかける時間が一つ有利になるだけですね。今季 1位になったのはよかったが、自分たちのロッカールームの中では(リーグ戦で)3回負けている。パナ(ソニック)に1回、ブルーレブズに2回負けている。昨年とまったく違う。1位だから王者、という感じではなく、もう1回、チャレンジするマインドでやっていかないといけない。

――オフの間は何をする?
酸素治療を毎日しっかりやって、リフレッシュして、治すところは治して、何よりもメンタルを鍛えてやりたい。(1シーズン)18節は初めてだったし、しっかりここでスイッチを切らずに準備したいなと思います。
――負けたら終わりの準決勝に向けて
どうやって強みを出すか考えて、相手の強みをどう消すか、あとは規律(が大事)。早稲田大や天理大で優勝の経験もある選手がいたり、(NZで優勝経験豊富な)リッチー・モウンガがいたりするので、ゲームドライブ、ゲームマネジメントどうやっていくかリーダー陣で話をしていきたい。シンプルにどうやって自分たちの強みを出すかが大事かなと思います。
GALLARY

リッチー・モウンガ

前半9分・セタ・タマニバルのトライ


前半17分・敵陣ゴール前スクラムから

杉山優平がゴール中央に飛び込みトライ



リッチー・モウンガのゴール

前半27分・タウファ・ラトゥがトライ

後半3分シャノン・フリゼルのトライ

後半13分豊島翔平が突破

そのまま豊島翔平がトライ



難しい角度からリッチー・モウンガのゴール成功

後半41分、リッチー・モウンガのキックパスをキャッチした桑山聖生がそのままインゴールへトライ

POMはリッチー・モウンガ