女子セブンズラグビーの国内サーキットシリーズ「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025・北九州大会」は、ながとブルーエンジェルスが、決勝でナナイロプリズム福岡を31-12で勝利し、今シーズン初の優勝を飾った。MVPには2日間とおして、切れ味あるランが冴え渡っていた、大谷芽生(ながと)が選ばれた。
2025/07/21
文●編集部
昨シーズン圧倒的な強さを見せて完全優勝を果たしたながとだったが、今シーズンは常勝チームらしくない試合が続き、第1戦熊谷大会でも3位決定戦でナナイロプリズム福岡に敗れ、4位という結果に終わっていた。今大会でもプール戦では追手門学院VENUSと引き分け、他のチームとも僅差の試合を制して苦しい展開だった。
風向きが変わったのは、2日目の準決勝。今シーズン好調のPEARLSに対して45‐7と圧倒的な展開で勝利を収めたことだった。前半だけで4連続トライを奪い流れを引き寄せると、今シーズン初出場の東あかりが後半の頭にトライを決めて試合を決めた。
チームとしてはいい流れを作って迎えた決勝も、そのいい流れを継続した。辻崎由希乃の先制トライから始まり、3連続トライで17‐0とリードして後半を迎える。今シーズン、ナナイロプリズム福岡には常にリードを許す展開でいずれも追いつけずに敗れていたが、この試合では先制パンチでリードして後半を迎えると、後半1分、大谷芽生が貴重な追加点をあげ24‐0とリードを広げた。

後半1分、大谷芽生のトライ
これまでの対戦で、苦しめられていた、ナナイロ、レアピ・ウルニサウにトライを許し、相手に流れがいきそうになるも、すぐさま大谷芽生のトライで試合を決めた。

ナナイロ、レアピ・ウルニサウのトライは後半すでに4分が経っていた

大谷2本目のトライ
今大会強さを見せてきたナナイロプリズム福岡だったが、思うような試合ができないままフルタイムとなり、地元・福岡での初優勝は果たせなかった。
試合後、ながとブルーエンジェルスから、平野優芽キャプテン、MVPの大谷芽生に話を聞いた。

見事優勝に輝いた、ながとブルーエンジェルス
ながとブルーエンジェルス 平野優芽共同キャプテン

平野優芽共同キャプテン
一人一人の勝ちたいという気持ちと、グラウンドに立っている全員が100%の力を出し切ってくれた。それは熊谷の後から意識してやってきたので、それを体現してくれたそこだけですね。
(熊谷の後、どういう修正を?)ラグビーの部分もちょっと修正したんですけど、それよりもチームとしてのまとまり、団結の部分が欠けていたんじゃないかという反省があったので、「ユニティー(団結)」というのをテーマに合宿をしました。

合宿自体は2日間とかだったんですけど、朝、昼、晩御飯を共にして、時間を一緒にすごして、練習の回数は少なかったんですけど、その中で熊谷大会で感じたことだったり、チームに対する思い、というのをそれぞれ話しました。
昨日はあんまり良くなかったんですけど、今日の一試合目のTKM戦は苦しい試合でも勝ちきれましたし、前回大会チャンピオンのPEARLSに対しても、自信を持って挑めて、ああいうような結果で準決勝を終えられたので、(ナナイロへの)苦手意識というよりかは、本当に自分たちの自信がみんな溢れてました。

(二日目にむけてどんなことを話したか?)昨日のプリズム戦、結果としては負けてしまったんですけど、それぞれの努力とか、ハードワークというところは見えていた。あとはミスをどれだけトライにつなげるかという部分だったので、気持ちの面ではいい状態で臨めました。
(ロテHCが辞めたことについて)この一週間すごくしんどくて、この試合にフォーカスえきる環境ではなかったかもしれませんが、みんながいろんな思いを持ちながら、チームのためにハードワークしてくれたんです、それも含めてよかった。
これまでロテHCにもリスペクトがありますし、彼のおかげでこのチームになれているので、何も変えずに今までやってきてくれた分も今日体現しなきゃいけなかったですし、あんまりチームとして何かを話していないですけど、みんながそれぞれの思いを持ちながら、チームのために努力をしてきました。今週一週間は選手主導で頑張ってきたので、みんなの思いというのがしっかりプレーにつながったと思います。
ながとブルーエンジェルス 大谷芽生

大谷芽生
キックオフでFWがボールを獲得できるのか、取られたとしてもどういうタックルをするのかでチームの流れ、入りの流れが決まると思うので、私の強みは強気な部分なので、こうチームにいい流れを持ってこれるようにそこは意識していました。
今まではチームとしてやるべきことがしっかり決められていたんですけど、一人一人が前を見てその時の判断で強くいくというところがいいプレーにつながった、トライにつながったと思います。
(トライについては)自分でしっかり前を見て、自分で決めきってやりきれたかなと思います。

MVPに選ばれた大谷芽生
(熊谷大会を終えてから)ユニティ「団結力」というのをターゲットに掲げて全員で一つになろうというふうにやってきました。キャンプであったり、練習でも練習場でもチームとしてまとまれるようにみんなで一緒に時間をすごしてきた。それがラグビーにもつながった部分もあったかなと思います。次の花園大会にむけても、もっと一つになれるようになっていきたいです。

今年はプレシーズンの時から、やってこれたのは大きいかなと思います。ながとは外国人選手もいて、スキルの部分もそうですし、海外のいろんな文化もあり、コミュニケーションは難しいですけど、みんなでやっていけるのはすごく大きいかなと思います。

日本代表としてプレーしている以上、パフォーマンスをこの場で見せないといけないという責任はあると思いますし、今は代表でも年上になってきて、自分のことだけじゃなくて、チームをもう少しみて声をかけないといけない場面が増えてきたので、そういうことはながとでもできている部分はあるんじゃないかなと思います。