8月2日、3日と東大阪、花園ラグビー場では「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025・第3戦花園大会」が行われ、PEARLSが決勝でナナイロプリズム福岡を21-7で下し今シーズン2大会目の優勝を飾った。またMVPには今大会12トライを決めた、タリア・コスタ(PEARLS)が選ばれた。
2025/08/03
文●編集部
GALLARY

序盤はナナイロが攻勢をかける(中村知春・伊礼門千珠)

馬場希美

永田花菜・迫田夢乃

中村知春とサラ・ヒラニのマッチアップ

ナナイロ・吉野舞祐のビッグゲインをタリア・コスタが止める!

リードを許したPEARLSだったが、前半ラストプレーでタリア・コスタが自陣から突破。一気に加速しインゴールまで走りきりトライ

後半3分オリブ・ワザーストンが中村知春を交わしインゴールへ

レアピが追走するもオリブが走りきりトライ

角度のある位置からゴールを決める須田倫代

庵奥里愛

後半6分ガブリエラ・リマが草野可凛のタックルを交わしインゴールへ勝負を決めるトライ

レアピにジャッカルをきめたタリア・コスタ。これでノーサイド。

PEARLSが今シーズン2回目の優勝を果たした

MVPにはタリア・コスタ(中央)が選ばれた
1位:PEARLS

1位・PEARLS

前回大会でながとブルーエンジェルスに完敗を喫し迎えた今大会。プール戦では圧倒的な強さで三連勝。準々決勝でもアルテミ・スターズに快勝。準決勝ではTKMの激闘の末、勝利を収めると決勝ではナナイロに先制を許すもタリア・コスタの攻守にわたる働き、さらに須田倫代はじめリザーブ陣がチームに勢いをもたらし逆転勝利。今シーズン2度目の大会優勝を収めた。総合優勝をかけたグランドファイナル初戦は日体大。北九州大会では準決勝で対戦し、後半ラストプレーで逆転勝利を収めたほど僅差の戦いとなった。
一発勝負のプレッシャーがかかる状況で、ただでは負けない日体大を相手にどんな戦いを見せるのか大注目だ。
2位・ナナイロプリズム福岡

2位・ナナイロプリズム福岡
今大会はチームとして最も優勝が狙えるパフォーマンスを見せたナナイロ。苦しい展開の試合もありながら、チーム最年長・中村知春の見事な読みとスキルフルなディフェンスで勝利を積み重ねた。花園大会に続き決勝進出を果たし、相手は同じくPEARLS。拮抗した試合は力の差を感じないどっちが勝利してもおかしくない展開だった。SP2位で通過、グランドファイナルは日本体育大学ラグビー部女子(SP7位)と対戦。
3位・ながとブルーエンジェルス

3位・ながとブルーエンジェルス

前回大会優勝のながとブルーエンジェルスは今大会でも強さを見せプール戦を全勝。2日目の準々決勝で、サクラセブンズ、辻崎由希乃が負傷交代するアクシデントに見舞われるも準決勝進出。相手は今シーズン1勝3敗と負けが多いナナイロプリズム福岡。前回大会では圧倒した展開も、前半を終わって5-7と僅差で折り返す。
後半、先にながとが平野優芽のトライで逆転するも、何度もながとの勝利を阻んできたレアピ・ウルニサウにトライを許し12-12の同点。残り2分の戦い。ナナイロにボールをキープされ、フェイズを重ねられ、草野可凛に逆転のトライを許し決勝進出はならなかった。
3位決定戦ではTKMに圧勝。ながとの強さは前回の北九州大会から復活したことを印象付けた。SP3位で通過、グランドファイナル初戦は地元・北海道バーバリアンズディアナと対戦。
4位・横浜TKM

4位・横浜TKM
「ベスト8」の壁を今大会はクリアして迎えた準決勝。PEARLSとの大一番。前半3連続トライで流れを持っていかれると、後半にも先のトライを奪われ苦しい展開。ようやく後半6分に内海春菜子のトライでスコアするも残り時間がなく、準決勝敗退。3決では、ながとブルーエンジェルスに圧倒され完敗。
今季新加入したフランス代表、ヨレイン・イェンゴは「もっとコネクトすること。そしてハードワーク、何よりもラグビーを楽しんで」。グランドファイナルにはSP4位で通過。東京山九フェニックス(SP5位)との対戦に。
5位・横河武蔵野アルテミ・スターズ

5位・横河武蔵野アルテミ・スターズ
今大会大躍進を果たしたアルテミ。今季初の8強入りを果たすと、準々決勝ではPEARLSに大敗するも、その後の5位~8位決定戦ではPTSを零封。スターターだけでなく、リザーブの選手たちも最後まで諦めないタックルでPTSにトライを許さなかった。アタック面では、矢崎桜子、西舞衣子を起点に、新加入の木川海、梅津悠月がクラッシュ、チームを前に進めた。さらにディフェンス面でも山本和歌が低いタックルでボールを奪い、空いたスペースに今季キャプテンを務める片岡詩がランで切り裂く。素晴らしいコンビネーションでトップチームとも戦えることを証明した。
5位決定戦でも、日体大に12-0と勝利し、7人制のアルテミ史上最高位の5位で大会を終えた。山本和歌「新しい選手がチームに新しい力を与えて、チーム全体が良くなってきている」と話す。
SPは9位で入替戦で早稲田大学ラグビー蹴球部女子部と対戦。「簡単な試合にはならないと思いますが、ここまで戦ってきたことを自信にもって、圧倒して勝ちたいです」(山本和歌)
6位・日本体育大学ラグビー部女子

6位・日本体育大学ラグビー部女子
北九州大会終了時点でSP8位の日体大は、グランドファイナル進出するためには最低でもベスト8入りを果たすことが条件だった。プール戦では今大会準優勝のナナイロプリズム福岡に17-21と僅差で敗れるものの2勝1敗で8強入りを果たした。準々決勝の相手は、ナナイロとの再戦となった。高橋夢来のトライで先制するも、そこから4連続トライを与えてリードを広げられてしまう。後半ラストプレーで橋本佳乃がトライを返し、しっかり爪痕を残した。
一発勝負となるグラウンドファイナルでは、チームが好調の状態であればトップチームに勝ち切るポテンシャルを秘めているだけに、ダークホース的な存在になる可能性もある。初戦は今季2大会優勝のPEARLS。挑戦するには申し分ない相手だ。
7位・北海道バーバリアンズディアナ

7位・北海道バーバリアンズディアナ
今シーズンコアチームに昇格したディアナは、前回の北九州大会では最高5位に登りつめた。今大会もプール戦で2勝し確実に8強入り果たした。準々決勝の相手は、ながとブルーエンジェルス。前半立て続けに3つのトライを奪われリードを許すも、後半疲れが見えてきた相手に対して、攻撃の要であるジャズミン・フェリックスホッサム、さらにトライゲッターのダニー・マフィーのトライで盛り返すも敗れた。7位決定戦ではPTSに快勝し、SP6位で地元・札幌で行われるグランドファイナル進出を決めた。
吉田鳳子キャプテンは、シーズン前に宣言していたグランドファイナル出場を達成したことに喜びながらも、「いい時と悪い時があって、そこを直していきたい。けが人も多いので、いまいるメンバーでのコンビネーションが大事」と話す。「本来であればベスト4にいける力はある」(吉田)。
地元で多くの声援が送られる中、どれだけ一貫性を持って戦えるかが上位進出のキーとなりそうだ。初戦は、ながとブルーエンジェルスに挑む。
8位・自衛隊体育学校PTS

8位・自衛隊体育学校PTS
前回大会4位と大躍進したPTSだったが、今大会は準々決勝のTKM戦では僅差で折り返し、迎えた後半3分。敵陣ゴール前まで攻め込むもTKM・堀毛咲良のジャッカルで絶好のチャンスを逸してしまう。結局そのまま試合終了。5位~9位決定戦、7位決定戦ともに敗れ8位で大会を終えた。
登録メンバーが少ないPTSにとって不安材料は、ルーキー、勇美玲の負傷状況だ。今大会も素晴らしいパフォーマンス見せた勇だったが、TKM戦で負傷交代を余儀なくされた。17日に行われるグランドファイナルまでに復帰できるか。SP8位で進出したPTSは初戦でPEARLSと対戦する。
9位・アルカス熊谷

9位・アルカス熊谷
今大会プール戦で東京山九フェニックスに勝利しチームとしての成長を見せたアルカス。得失点差で残念ながら初の8強入りは逃したが、成長中のチームにとって「勝利」が大きな自信につながり、2日目も連勝で大会を終えた。
SPは10位で入替戦ではブレイブルーヴと対戦。「トップチームとも戦ってきたし、この経験があるので負ける気はしません」(アルカス・杉本七海)一発勝負のプレッシャーを打ち負かすだけの、慢心ではない、経験で培った手応えを力にかえて入替戦でどんなパフォーマンスを見せるか。
10位・追手門学院VENUS

10位・追手門学院VENUS
地元・大阪での開催。歴代VENUSは花園で好成績を収めてきたが、今大会は接戦を勝ち切ることができなかった。プール戦の日体大戦では後半何度もチャンスを迎えるも活かしきれず5点差で敗れた。サクラセブンズの松田向日葵、小西春菜、津田佳梨とスペースがあればトライを取り切れるタレントが揃っているだけに、あとは中盤の接点で、松下小雪キャプテン、好川穂乃花らのFW陣が踏ん張れるかがキーとなるだろう。入替戦では、日経大アマテラスとの対戦。大学生チームとの戦い、今年行われた大学セブンズでは21-19と僅差の戦いで勝利している。VENUSにとってはこの3大会での経験を経て、アマテラスの挑戦を退けることができるのか注目。
11位・東京山九フェニックス

11位・東京山九フェニックス
今大会苦しんだ東京山九フェニックス。共同キャプテンの岡元涼葉、トライゲッターの奥野わか花、大竹風美子らが負傷により欠場。若いメンバー中心の構成で挑むも、勝利を積み重ねることができず今大会は1勝に終わった。
SP5位でグランドファイナル進出を果たし初戦の相手はTKM。「若いメンバーが多いので、自分たちのラグビーを信じることが大事」とカナダ代表として3大会五輪出場のチャリティ・ウィリアムズは話す。パワフルなランで存在感を見せるチャリティ選手のプレーが見れるのは、次回札幌大会が最後となりそうだ。チャリティ選手の回転トライがまた札幌でも見れるか。怪我人が戻ってきて、接戦の勝負を勝ちきれればタイトル獲得も見えてくる。
12位・チャレンジチーム

12位・チャレンジチーム
今大会は大学生以上のシニア選手による編成となったチャレンジチーム。短期間の準備で挑むコンバインドチームは、4トライと厳しい戦いが強いられた。過去2大会の経験がない選手たちがこの酷暑の中で戦うこと自体がハードであり、さらに大会全体がレベルアップしていることを改めて感じさせた。
チャレンジチームはSP12位となったため、チャレンジトーナメント4位のアザレアセブンとの入替戦はエキシビションとなり、アザレアセブンは昇格することができない。
太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025 グランドファイナル札幌大会組合せ

グランドファイナル組み合わせ
入替戦組み合わせ
