レギュラシーズン4位の静岡ブルーレヴズと5位のコベルコ神戸スティーラーズとのプレーオフ準々決勝(5月17日・花園ラグビー場)は緊迫感ある激闘となった。
前半7点差で神戸リードで折り返した後半、神戸・李承信のトライでリードを広げるも、静岡も後半からクワッガ・スミスキャプテンを投入し流れを引き戻すとカウンターアタックからSH北村瞬太郎のトライとSOサム・グリーンのPGで再び4点差に。

ガットランドのPGで神戸が先制

前半18分、松永貫汰に対して、静岡・テファレがハイタックルでペナルティトライ

WTB植田和磨のブレイク

植田和磨が体制を崩しながら山口楓斗と対峙

植田和磨がステップをきって鮮やかに抜き去る

植田が持ち込んだボールをFWが繋いでララトゥプアがトライ
拮抗が崩れたのは、終盤70分すぎ、WTB松永貫汰、SOブリン ・ガットランドの突破から神戸が前進。神戸のプレッシャーにたまらず静岡がペナルティ。73分、敵陣ゴール前のペナルティから神戸はタップでリスタート。右サイドにポイント作ってフェイズ重ねる。静岡がオフサイド。ペナルティのアドバンテージが神戸に出されるとSH日和佐篤はガッドランドに展開。ガッドランドは逆サイドの大外にいたWTBイノケ・ブルアにキックパス。このボールをキャッチしたイノケは、対面に一人、山口楓斗を交わし大きな追加点となるトライを決めた。
直前のプレーで足を負傷したガットランドに代わり李承信がコンバージョンキックを狙うも失敗。29-20で終盤の5分を迎える。

松永貫汰の突破

ガットランドのキックパスをイノケ・ブルアがキャッチ

ブルアが山口を交わし左隅にトライ

吠える!ブルア!

神戸には大きな追加点となった

李承信がゴールを狙うも失敗
神戸はSH中嶋大希、LO小瀧尚弘を投入。フレッシュレッグズに残りの時間をかける。直後のキックオフ、静岡WTBテファレがカウンターを仕掛けるも自陣ゴール前で孤立。ノットリリースで神戸ボールスクラム。神戸がスクラムペナルティを獲得すると、ゴール正面からガットランドがPGを落ち着いてきめて32-20。さらに79分にもPGを決めて35-20と試合を決め、準決勝進出を決めた。
試合後、両チームの司令塔、ブリン ・ガットランド、サム・グリーンに話を聞いた。
HIGHLIGHTS
コベルコ神戸スティーラーズ SOブリン ・ガットランド

ブリン ・ガットランド
ーー試合を振り返って
ええ、それは僕たちが予想していた準々決勝の戦いだったと私は思う。本当にタフな試合だった。スタートは良かった。相手は前半、後半ともにいくつかのチャンスがあった。そして後半は、僕たちにも勢いがなく、厳しい展開になった。まさに腕相撲のような、一進一退の激しい攻防だった。
しかし、試合に粘り強く取り組み、最後まで勝利を目指して努力した気持ちと努力こそが、クォーターファイナルの醍醐味だと思う。僕たちはそれを見事に成し遂げた。試合の最後に最高のショットを打つことができた。このように結果がついてきたので、それは良かったかなと思います。
ーー最後の、最後の部分でやったキックパス、あれは何だった?狙ったもの?それともチャンスを見たから?
両方だね。アドバンテージに出たのもあるし、外のスペースが空いてくるということは、前々からプレビューして分かっていたので、そこの部分は半分の作戦でもあるし、ペナルティアドバンテージを得て、少し自由なプレーができる状況になった。
でも、僕はいつもディフェンスの引き戻しやウィングの動きを確認している。彼らは少し隙があったように見えたので、そこで強いボールキャリアがいましたし、イノケに対してボールを出して、そこで1-1を作り出せれば彼は取ってくれると思ってたので外側が空きました、スペース見えたので、ボールを蹴りました。
ーー次の東芝戦に向けて
前回の東芝戦の時は、 高い授業料を払うことになったんですけど、でも、その高い授業料を払っただけのレッスンを受けることができたと思ってます。そのレッスンというのは、スイッチを切ってはいけない。自分たちの 集中力が切れた、その瞬間に相手が流れ込んできてスコアをされてしまって、非常に痛い目になった結果になってしまった。そこの部分はもちろんスイッチを切らずに集中力高く持って臨むことが求められる。あとはすごく攻撃力のあるチームだから、しっかりと自分たちがどれだけディフェンスを固められるかというところが今回の試合ではキーポイントになってくる。あとは自分たちの持っている攻撃力というのを前面に押し出していくことができれば。
ーーリッチー・モーウンガとの10番対決
リッチーと対戦するのはいつも楽しいよ。ニュージーランドにいた頃、彼とは何度も対戦したことがある。カンタベリーやクルセイダーズとの対戦だったり、そしてもちろん、今年はリーグワンでも彼と対戦したと思う。
だから、同じNZの10番の選手と良い試合をすることはいつも楽しいし、同時に最高の選手と戦って自分を試したいと思う。リッチーは言うまでもなく、この10年で見ても世界トップクラスのSOだから、彼と対戦することを楽しみにしているよ。
静岡ブルーレヴズ SOサム・グリーン

サム・グリーン
ーー最後のプレーの前半の終わりにペナルティキックを選択しました。前半の決断について説明していただけますか?
それは私の決断ではありません。ポイントを取るかどうかに関わらず、それは正しい決断だったと思います。規律の乱れとボールの支配力の欠如で、試合にうまく入ることができなかった。しかし、ハーフタイムを1トライ差以内で迎えたかった。それが前半終了時にペナルティゴールを選択した理由です。しかし、うまくいかなかった。判断自体は良い判断だったと思う。
多くの自分たちの選手のパフォーマンスは、結局のところ、自滅した部分が大きかったと思う。特に前半はペナルティを多く与えてしまった。でも、これは自分たちが望んでいたようにプレーできなかった試合の一つだった。不必要なミスが多すぎた。試合でやりたいことができなかった。
ーーチームは緊張していた?
そうかもしれない。プレーオフの試合だから、誰もが少し緊張するのは当然だけど、今日は全く私たちの思い通りにはいかなかった。
神戸はセットピースで私たちに大きなプレッシャーをかけてきた。そのため、自分たちの流れに持ち込むのが困難だった。チーム内には確かに緊張感があったけど、それが結果の原因ではないと思うよ。
ーーシーズン全体はどうだったか?
レギュラーシーズンは、非常に良くプレーできたと思う。チームとして成長したし、自分たちが目指すプレーにコミットできた。しかし、今日は…特にプレーオフに入ると、全く違うシーズンになる。フィールドに出て、パフォーマンスを発揮し、プランを遂行しなければならない。そして、今日はそれができなかったと思う。ディシプリンの欠如や不必要なミスで自分たちをダメにした。でも、レギュラーシーズンに関しては、本当にチームとして成長できたと思う。
ーーオフシーズンの話ですが日本代表になる資格が得られると思いますけど、それについてはどう思う?
今シーズン初めから言っているけど、資格を得た以上、その環境に身を置きたいと思っている。今後どうなるかは、様子を見守るしかないけど。でももしチャンスがあれば100%チャレンジしたいんだ。