コアチームとの入替戦出場権をかけた熱い戦い―太陽生命チャレンジャートーナメント開催 | ラグビージャパン365

コアチームとの入替戦出場権をかけた熱い戦い―太陽生命チャレンジャートーナメント開催

2025/05/17

文●大友信彦


5月5-6日、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025入替戦への出場権をかけたチャレンジャートーナメントが福岡JAPANBASEで行われた。

大会には計10チームが出場(出場予定だった鎌倉サクラウィンズは出場を辞退した)。8月17日に札幌で行われる入替戦出場の4枠をかけて2日間、熱い戦いを繰り広げた。
DAY1は3組に分かれてプール戦を実施した(当初出場予定だった「鎌倉サクラウィンズ」は出場辞退した)。

【A組】

弘前サクラオーバルズ29-7四国大
四国大7-5名古屋レディース
弘前サクラオーバルズ31-5名古屋レディース
①弘前サクラオーバルズ2勝+48
②四国大1勝1敗-20
③名古屋レディース2敗-28

新居里江子

新居里江子

【B組】

アザレアセブン58-0湘南ベルマーレBell7
神戸ファストジャイロ44-0湘南ベルマーレBell7
アザレアセブン17-14神戸ファストジャイロ
①アザレアセブン2勝+61
②神戸ファストジャイロ1勝1敗+41
③湘南ベルマーレBell72敗-102

西夏穂

西夏穂


レイラニ・ナイヤガ

レイラニ・ナイヤガ

【C組】

日本経済大24-10早大
ブレイブルーヴ19-5RKUグレース
RKUグレース14-10早大
日本経済大24-7ブレイブルーヴ
ブレイブルーヴ24-10早大
RKUグレース19-12日本経済大
①日本経済大2勝1敗+24
②ブレイブルーヴ2勝1敗+13
③RKUグレース2勝1敗-3
④早大3敗-32

高橋みひろ

高橋みひろ


城遥花

城遥花


熾烈な戦いになったのはC組だ。組み合わせが発表されたときから最激戦区と目されていたが、日経大とブレイブルーヴ、RKUグレースの3チームが3すくみとなる予想通りの激戦。3戦全敗となった早大も3試合全てで複数トライをあげる健闘ぶりをみせた。

DAY2 順位決定トーナメント

この日の主役は、前日ゼロ勝に終わった早大だった。
まず、1回戦はグレースとの再戦。早大は前半、1年生の尾久土栞、千北佳英がトライをあげ12-7とリードして折り返すと、後半も高橋あいり、野口明彩陽のトライで24-7までリード。グレースは城遥花がキックオフリターンで約60m独走するなど2トライを返したがそれまで。最後は残り時間なしのキックオフがノット10mとなり万事休す。14分間休むことなく前に出た早大が24-19で前日の雪辱を果たした。

尾久土栞

尾久土栞


千北佳英

千北佳英


早稲田大が岡本のサヨナラトライで入替戦出場を決める!

続く準々決勝はA組1位の弘前サクラオーバルズと対戦。4月の関東セブンズでは弘前がライサニ・モセイサワナの3トライで21-5と圧勝。この試合でもまず弘前がキックオフから敵陣に入って攻め立て、粘る早大のDFを破り6分に古関が先制トライ。しかし早大は前半ラストプレーで尾久土栞がトライを返し、野口が左中間の難しいゴールを成功。7-7の同点で折り返すと、後半2分に高橋みひろのトライで勝ち越す。弘前も粘るが、最後は17-17で迎えた後半ラストプレー、尾久土の突破から岡本美優がサヨナラトライを決め24-17で勝利し、準決勝進出。同時に、8月17日のグランドファイナル/入替戦出場を決めた。

岡本美優

岡本美優


尾久土栞

尾久土栞


片岡瑞帆

片岡瑞帆


山形詩織

山形詩織

昇格戦進出が確実な3枠に入るための上位4チームの争い

ただし勝負はここからだ。
グランドファイナルで実施される入替戦にはチャレンジャ-トーナメントから4チームが進出する。早大の他は同じC組で1位だった日経大が四国大を、同2位のブレイブルーヴは神戸ファストジャイロを、B組1位のアザレアセブンは名古屋レディースをそれぞれ破り、入替戦への出場権は獲得した。

だが、太陽生命シリーズのコアチームから出場する9位以下4チームにチャレンジチーム(日本協会の強化選手で編成される混成チーム)が含まれていた場合、チャレンジャートーナメント4位チームの試合は入替戦ではなくエキシビションマッチとして行われるとされており、3位以内に入らないと、入替戦に出ても昇格への道は、最初から断たれている可能性もあるのだ。

小林詩波

小林詩波


平野恵理子

平野恵理子


高木沙環

高木沙環

DAY1・全体1位のアザレアがブレイブルーヴと対戦

注目の準決勝。まずDAY1の全体1位となり、準々決勝では名古屋レディースに大勝したアザレアvsC組2位から神戸ファストジャイロに競り勝って勝ち上がったブレイブルーヴの対決。試合はアザレアが内野琴音のトライで先制したが、ルーヴは⑦新井琴羽の2トライで逆転。後半も取りつ取られつの熱戦が続いたが、最後はルーヴ④渡辺貴子が約50mを走り切り、22-12で勝利した。

続く日経大vs早大は、これが2戦目の日経大に対し、3戦目の早大は疲労の色がありあり。日経大が5トライを奪い31-0と圧勝して決勝進出を決めた。

小櫻祈代

小櫻祈代

そして迎えたのが勝負の3位決定戦。序盤はアザレアが新人のレイラニ・ナイヤガ、次いで3年生の西夏穂という開志国際―静岡産大の2人がトライを重ねて14-0とリードするが、早大は準決勝の日経大戦よりも動きがよく、リードされても失望の色は浮かばず、5分に高橋みひろが抜け出し独走トライ。7-14と追い上げて折り返すと後半2分に千北佳英がトライし14-14の同点。さらに6分、再び相手ゴール前に攻め込んだ早大は、スクラムから千北が右中間にトライし19-14と逆転。

最後はアザレア必死の反撃を食い止め、ノットリリースザボールを勝ち取りタイムアップ。14-17で勝ち、入替戦での昇格挑戦資格を確定させる3位を掴み取った。DAY1は3試合、DAY2は4試合と、全チームで最も多い試合数を戦い、3戦目ですでに激しく消耗していながら、最後の試合でみごとな集中力をみせ、走り続けて勝ちきったパフォーマンスに拍手を贈りたい。

アザレアはフィジカル局面で試合を優勢に進めながら細部に丁寧さを欠き、試合を支配できず、早大の運動量と反応の早さに敗れチャレンジャートーナメント4位。入替戦への出場は決まったものの、昇格の可能性を得るには、太陽生命シリーズの3大会までのランクでチャレンジチームが8位以内に入っていなければならないという他力本願の状況になってしまった。合理性を欠く謎の大会要項だが、これまでのところ変更されるという情報はない。札幌大会までの3ヵ月、練習試合になる可能性もある中で準備を続けるのは酷だが、ここはチャレンジチームの健闘を祈るしかなさそう。昨年もチャレンジチームに参加した西夏穂やレイラニ・ナイヤガが加わって、自力でチャレンジチームを勝たせてくれることを期待したい。

決勝は日本経済大とブレイブルーヴが対戦。前日は24-7で日経大が勝っていた。

この決勝でもキックオフから日経大が相手ゴール前に攻めこんでチャンスを得るが、ハンドリングが乱れ先制チャンスを逃し、逆にルーヴは自陣ゴール前のラックから渡邊貴子がみごとな90m独走トライで7点を先制する。

渡邊貴子

渡邊貴子

それでも日経大は焦ることなく反撃し、前半終了直前に正確なパスでボールを動かし、小櫻祈代がトライ。5-7と追い上げて折り返す。後半も両者とも規律の取れたディフェンスで締まった展開で進むが、日経大は5分、長谷部彩音がステップで相手DFの裏に出てトライ。6分にはテマレシ・ラヤシがハンドオフで相手DFを突破してダメ押しのトライを決め、17-7で快勝した。

テマレシ・ラヤシ

テマレシ・ラヤシ


新井琴羽

新井琴羽

小林詩波

小林詩波


日経大は昨季の太陽生命シリーズで年間順位が最下位の12位に終わり、今季は降格していたが、昨季の最終戦・花園大会では初戦で東京山九フェニックスを破り、8強入りしていた。今季は創部当初からチームを支えてきた安永佳奈やサクラxv候補の甲斐早智子が抜け、町田美陽と垂門奈々がサクラxvのアメリカ遠征に参加、原田紗羽が負傷で欠場する中(垂門は大会には参加)、規律の取れた攻守をみせ、新人の石垣未夏美がチーム最多の7トライ、3年生の長谷部彩音が5トライをあげるなど安定した力を発揮した。

結果的に、1位から3位までをC組の3チームが占めた。プール戦で唯一4チームが組み込まれたC組のもう1チーム、RKUグレースは、プール戦では大会を制した日経大を破っていながら、トーナメント1回戦で同じC組の早大に敗退。最後の9位決定戦では湘南に58-0で勝利。これは奇しくも、大会4位となったアザレアのグレース戦と同じスコアだった。グレースは「ほぼ4位」相当の力があったことになる。

C組は、昨年の昇格大会順位でいえば、1位相当(降格してきた)の日経大、2位のルーヴ、4位のグレースが同組で、そこに進境著しい早大が加わり最激戦区になっていた。組み分けは抽選であれば仕方ないともいえるが、トーナメントの1回戦での同組同士の対戦を避けるような工夫は欲しかったと思う。

最終順位 1位 日経大AMATERUS

日経大アマテラス

日経大アマテラス

2位 ブレイブルーヴ

ブレイブルーヴ

ブレイブルーヴ

3位 早大ラグビー部女子

早大ラグビー部女子

早大ラグビー部女子

4位 アザレアセブン

アザレアセブン

アザレアセブン

5位 神戸ファストジャイロ

神戸ファストジャイロ

神戸ファストジャイロ


6位 弘前サクラオーバルズ

弘前サクラオーバルズ

弘前サクラオーバルズ

7位 四国大

四国大学女子ラグビー部

四国大学女子ラグビー部

8位 名古屋レディース

名古屋レディースRFC

名古屋レディースRFC

9位 RKUグレース

RKUグレース

RKUグレース

10位 湘南ベルマーレBell7

湘南ベルマーレBell7

湘南ベルマーレBell7

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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