全国から女子高校生チームが集結する菅平女子セブンズ交流大会(旧オッペンカップ)ハイティーンの部が8月5-6日の2日間、長野県上田市菅平高原のアンダーアーマーサニアパーク菅平で行われ、関東学院六浦B(ブラック)と福岡レディースB(ブルーベリー)が決勝で対決。激戦の末12-12で引き分け、両者優勝となった。関東学院は2年ぶり4度目、福岡レディースは2年連続3度目の優勝となった。
今大会には36の高校・クラブからチャンピオンシップに20校・クラブから24チーム、チャレンジグループに10校・クラブから6チーム、交流戦グループに8クラブから6チーム、合計36チームがエントリー。2日間にわたってプール戦とプール順位別リーグを行った。
昨年も決勝を戦った関東学院六浦と福岡レディースは今年も2チームでエントリー。
福岡B(ブルーベリー)はプール戦で静岡を62-0、メリノールMを22-5で破り、決勝リーグ1(ABC)では関東学院六浦P(パープル)を19-14、横河武蔵野アルテミ・スターズを36-0で破り1位通過。関東学院六浦B(ブラック)はプール戦で四日市農芸を24-5、追手門学院Bを19-5で破り、決勝リーグ2(DEF)初戦では四日市メリノールYと12-12で引き分けたが、麗澤を31-0で大破して得失点差で1位通過。チャンピオンシップ決勝に勝ち進んだ。
決勝に進んだ両チームの登録メンバーは以下の通り。
【福岡レディースB】

優勝した福岡レディースB
1 江島美優(2年)
2 金城遥香(2年)
3 柿本希掬(3年)
4 安藤凜花(1年)
5 富盛楓梨(2年)
6 大内田彩月(2年)
7 前野仁虹(1年)
8 中園真優佳(3年)
9 西端 渚(3年)
10 木村唯子(1年)
11 大川愛未(2年)
12 西端湊美(1年)
13 入江実乃里(2年)
【関東学院六浦B】

優勝した関東学院六浦B
1 浅利那未(3年)
2 大橋愛莉(3年)
3 小林世渚(3年)
4 佐藤多恵(3年)
5 青山羽菜(3年)
6 伊藤ちひろ(3年)
7 廣田 心(3年)
8 佐藤凜桜(3年)
9 山本真衣佳(3年)
10 大川世夏(1年)
11 島田明歌(1年)
12 上杉なつ(1年)
13 首藤清良(1年)
14 高橋穂希(1年)

福岡⑧中園主将と六浦①浅利主将が試合前のトス

六浦⑤青山のキックオフで試合は始まった
決勝は六浦のキックオフで始まった。
先に攻め込んだのは六浦。ユース日本代表のエース⑥伊藤ちひろの突破から⑤青山羽菜、④佐藤多恵とつないで福岡トライラインに迫るが、福岡のエース⑥大内田彩月、3年生の③柿本希掬、1年生⑩木村唯子、④安藤凜花らが好タックルを連発してトライを阻む。

福岡⑩木村のタックル

六浦⑤青山‐⑥伊藤のシザースプレー
そこから福岡も反撃。キックで敵陣に入ると六浦のアタックをターンオーバーし、⑨西端渚-⑩木村唯子とつないだパスを受けた⑤富盛楓梨が右コーナーめがけて突進するが、バッキングアップに戻った六浦の1年生⑭高橋穂希がトライラインまで2mでタックルして即ジャッカルに入ってPKを獲得。

福岡②金城遥香

福岡④安藤凜花を六浦①浅利が止める
六浦はゴールラインを背負って果敢にクイックタップでアタック。①浅利那未主将がDFのギャップを突いてビッグゲインし、5分、⑥伊藤ちひろにつなぎまるまる100mをつなぐスーパートライで先制する。⑤青山羽菜のコンバージョンも決まり、前半は六浦が7-0とリードした。

六浦①浅利主将は目の周りに隈を作りながら奮闘
福岡も負けていない。後半1分、自陣に攻め込まれながら粘り強いDFでプレッシャーをかけ相手落球を誘うと、自陣22m線のスクラムからロングアタック。③柿本希掬―⑩木村唯子-④安藤凜花とつなぎ、再びボールを持った⑩木村唯子が左中間にトライ。5-7と追い上げる。

半、福岡⑥大内田彩月からのパスが①江島へ

福岡⑩木村がトライ

伊藤ちひろvs大内田彩月のエース対決

六浦④佐藤多恵
だが3分、福岡⑩木村唯子のDFがデリバレート・ノックフォワードと判定され、イエローカードを受ける。数的優位を得た六浦は④佐藤多恵―⑤青山羽菜の前進から⑭高橋穂希が右サイドをえぐり、最後は浅利那未主将が相手タックルを突き抜けて左中間にトライ。青山羽菜のコンバージョンは惜しくも外れるが、残り2分で六浦は7点のリードを得た。

六浦⑤青山羽菜

福岡⑥大内田が六浦⑭高橋を止める

福岡①江島のタックルを耐える六浦①浅利主将
だが福岡も諦めなかった。さらに攻めに出る六浦のアタックをタックルで止め、落球を誘うと迷わずカウンターアタック。⑤富盛楓梨から①江島美優、⑪大川愛未とつなぎ、右大外をエース⑥大内田彩月がゲイン。タイムアップのホーンが響く中、六浦防御が必死に追いすがったところで鮮やかなリターンパスが内側サポートの⑤富盛に通り、ポスト真下にトライ。大内田が冷静にキックを決め、12-12の同点となったところでフルタイムとなった。この大会では延長戦の規定はなく、両者優勝となった。

浅利のトライ


祝福する六浦セブン

両チーム体を張った奮闘を続けた

スクラムも激しく押し合った
最後の場面、六浦はコンバージョンを防げれば勝てただけに悔いが残るだろうが、互いによく攻め、よく守り、最後まで力を出し切った末の同点劇だった。つけくわえれば、六浦vsメリノールも同点決着だった。サクラセブンズ&サクラフィフティーンが世界で好成績を残している日本女子ラグビーは、次世代も目覚ましくレベルアップを続けていることを証明する決勝戦、そして2日間の戦いだった。

伊藤と大内田は何度もマッチアップした

終了直前、福岡⑤富盛がトライ

福岡⑥大内田がコンバージョン成功

同点のノーサイドに両セブンは複雑な表情

激闘を示すスコアボード
今大会ではRUGBYJapan365がMVP等の表彰に協力。大会MVPには関東学院六浦の浅利那未主将(3年)、ベストタックル賞に福岡レディースの木村唯子(修猷館高1年)、ベストキッカー賞に横河武蔵野アルテミ・スターズの森田奈穂子(都立府中西1年)。

RJ365提供の大会MVPは関東学院六浦の浅利主将

ベストタックラー賞は福岡レディースの木村唯子

試合後は互いの健闘を称えあった
各賞受賞者には、東京山九フェニックスの岸本彩華選手がプロデュースするスポーツブランド「Maresta(マーレスタ)」のウェアをMVP賞品として提供。賞品の手配に際してはRUGBYJapan365では購読会員様からお預かりした購読料をあてさせていただきましたことを報告いたしますとともに、感謝いたします。

両司令塔の対決は秋のU18でも続くか?

大会MVPに輝いた関東学院六浦・浅利主将

両者優勝、両チームシャッフルして記念撮影
![]() (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |