12月21日、NTTジャパンラグビー リーグワン第2節。三菱重工相模原ダイナボアーズがホーム相模原に横浜キヤノンイーグルスを迎え、「神奈川ダービー」が行われた。ともに神奈川県を拠点とする両チームの一戦には、黒岩祐治神奈川県知事も来場、試合前には様々なイベント開催され、試合前からスタジアムは盛り上がっていた。
両チームともに開幕戦に敗れ、この試合に勝てば今季初勝利という戦い。イーグルスはけが人が多く、SHには土永旭が初先発。さらに試合直前に急遽15番に武藤ゆらぎが入った。キャプテンのジェシー・クリエルも欠場し、13番には田端凌が入った。

この試合で100キャップの庭井祐輔が入場

テストマッチで負傷し、復帰した石田吉平
前半は風下のダイナボアーズがエリアで優位に立って試合を進めた。前半8分、LO ジャクソン・ヘモポの突破からオフロードパスを受けたSH岩村昂太がゴール中央に先制トライ。さらに前半12分、ダイナボアーズは敵陣22m付近でボールを奪うと、マリノ・ミカエリトゥウからWTB小泉怜史、さらに大外にいた岩村とつながり、左隅にダイビングトライ。12-0とリードを広げる。

前半8分ジャクソン・ヘモポの突破から

岩村昂太が先制トライ

前半12分敵陣深くでインターセプト。マリノから小泉へ

小泉から岩村につながり連続トライ
逆風でなかなか自陣を脱出できないイーグルスは苦しい時間帯が続いた。それでもしぶといディフェンスでトライラインを割らせない。ダイナボアーズは好機をスコアできないまま、前半終了間際に2戦連続の先発のSO三宅駿がPGを狙うも決まらず12-0のまま前半を終える。

セットプレーが安定していたダイナボアーズ

前半18分吉田杏がゴールに迫る

グランディングが認められずノートライ

親加入のルカニョ・アム

トヨタから移籍した淺岡俊亮「もう昨シーズンの8試合分のプレータイムはもらえている」
後半、やや風が弱まるも風下イーグルスが反撃に転じる。45分、敵陣22m手前のラックからFB武藤ゆらぎがスペースを抜けるとSO田村優にラストパスをつなぎ田村がトライ。12-5。ダイナボアーズはすぐさま51分で、日本代表LOエピネリ・ウルイヴァイティ、ヘモポの強力FW陣でゴールに迫ると、ここまで2度のトライシーンでトライが認められなかったFL吉田杏が「3度目の正直」でトライ。貴重な追加点をあげた。

後半6分・武藤ゆらぎがブレイク

武藤から田村へパス

田村がグレイソンを交わしインゴールへ

田村優のトライ

田村のコンバージョンは決まらず
イーグルスは60分、敵陣ゴール前スクラムでペナルティを獲得するとNO8サウマキアマナキがタップで仕掛ける。FWでポイントを作ると、土永がショートサイドの田村にパス。田村が相手の上からパスを繋いでWTBヴィリアメ・タカヤワがトライ。17-10と7点差に迫った。

後半22分・ヴィリアメ・タカヤワのトライ
追い上げられたダイナボアーズは後半26分PRピーター・ショルツが危険なタックルでイエローからレッドカードへアップグレードされ、残りの時間を1人少ない状況となってしまう。それでもイーグルスの猛攻を耐え凌いでそのままノーサイド。守りきったダイナボアーズがホーム開幕戦で今季初勝利を収めた。この試合のPOMには2トライを決めた、岩村昂太選手が選ばれた。

ピーター・ショルツは後半23分からピッチへ入るもわずか6分プレーしてレッドカードに。

足を痛めた田村優

時間を確認する岩村

グレイソンがボールを蹴り出しノーサイド

岩村昂太がPOM

庭井祐輔選手の100キャップ達成記念セレモニー

記念撮影・イーグルスの選手たち

ダイナボアーズの選手たちとも記念撮影
HIGHLIGHTS
三菱重工相模原ダイナボアーズ グレン・ディレーニHC

笑顔のグレン・ディレーニHC
相手のアタックは本当に強かった。我々のディフェンスも良かったけど判断は本当に難しかった。最後の5分はちょっとギリギリ。我々のDNAを見せてタフな姿をみせてくれた。
――前節の浦安戦では14人で戦う時間が長かった。今日の試合では1人少ない状況で守り切れたのは?
選手たが非常に粘り強くがんばってくれた。本来は15人でプレーしたいが、現代のラグビーではカードが出ることも増えているので、カードが出された場合のプランも立てている。スクラムを7人にするかどうかなど、難しい判断もありましたが、最後の5分は、ダイナボアーズの良いところであり、150年間の三菱重工のDNAを見せることができた。

ルカニョ・アム
――アム選手の効果
彼はオンフィールド、オフフィールド両方でチームに貢献してくれている。みんなと仲良くサボート精神があるキャラクターで、ワールドクラスの選手なので、コーチ含めて学べることが多い。以前は神戸でプレーした経験もあり、自分が日本でどういう役割が必要かを理解している。
三菱重工相模原 吉田杏キャプテン

吉田杏
すごくタフな試合でしたけど、最後勝ちきれてすごく満足しています。最後の5分、自分たちのDNAである、ハードワーク、努力、我慢し続けた結果をグラウンドで証明できたかなと思います。
――岩村昂太前キャプテンから学べること
たくさんのサポートをいただいていて、自分も学ぶべきことがある。自分なりのポリシーもあるので、それをプラスしていろいろな人の考えを取り入れながらうまくリードしていきたい。グランド内外でサポートしてもらっているのが心強い。
横浜キヤノンイーグルス レオン・マクドナルド監督

古川聖人ゲームキャプテン(左)、レオン・マクドナルドHC(右)
勝てなくてガッカリ。今週はチャレンジングな一週間でした。怪我によりポジションチェンジがあってうまくいかないことが多かった。それでも誇れる場所があった。2週間連続でキーモーメントでものにできなかったのは反省です。これからに向けて修正していきたい。
――2週連続、仕留めきれない要因
先週末の反省。ディフェンスのところで許してならないトライを取られたがディフェンスは改善できた。相手の勢いを止めることができた。アタックの部分は取り切れなかった部分
――庭井祐介選手が100キャップ
良い点が多い、12年間キヤノンでプレー。先週は「キヤノンマン」を獲得した。オフフィールドでもキャプテンではないんですけど、リーダーシップで本当にチームの一員として大事なメンバーの一人です。

庭井祐輔
――土永旭
彼はすごくスマートで、スキルもある。ファフの怪我にはがっかりですが、彼の活躍でこれからが本当に楽しみになりました。ポテンシャルがあり、ディフェンスでも勇敢、アタックでも素晴らしい。

今季初先発の土永旭
――武藤ゆらぎについて
15から12、10と入って、トレーニングではあまりあわせていないポジションだったのですが、ポジティブなプレーを発揮してくれたのはすごく誇れる。

武藤ゆらぎ
古川聖人ゲームキャプテン
試合結果は残念。18試合ある中での2試合。ここで下を向いていろんな責任にするのは簡単。いいマネジメントがあるので信じて前に進んでいきたい。

古川聖人
――ディフェンスに関する手応え
練習でやってきていることが試合で出てきている。練習で細かいところを確認して、頭の中がクリアになっている。考えるというフェイズが練習のところで確認できている。
――トライを取り切れない
トライを一本とりたい気持ちが強すぎて、ボールを大事にするという部分が足りなかった。あまり先を見すぎずに眼の前の試合に集中していきたい。
――100キャップを果たした庭井選手について
自分にとってはイーグルスの先輩でもありますし、大学の先輩でもあるので、本当にいつでも一貫してチームのためにプレーしてくれていますし、自分の仕事に集中して自分の行動でリードしていく。庭井さんのために自分も体を張りたいと思えるような方で、イーグルスを象徴するような選手だと思います。

庭井祐輔
SCOREBOARD
NTTジャパンラグビー リーグワン 2025-26 ディビジョン1 第2節 カンファレンスA
TRY(3)前半8分, 12分 9.岩村昂太, 後半11分 7.吉田杏 G(1)前半9分 15.ジェームス・グレイソン PG(0) PENALTY PK(7) FK(1)
TRY(2)後半6分 10.田村優, 後半22分 11.ヴィリアメ・タカヤワ G(0) PG(0) PENALTY PK(7) FK(0)
三菱重工相模原ダイナボアーズ グレン・ディレーニHC
1 蔡唯志 後半12分 OUT → IN 17 安昌豪 2 李承爀 後半12分 OUT → IN 16 宮里侑樹 3 淺岡俊亮 後半23分 OUT → IN 18 ピーター・ショルツ 4 エピネリ・ウルイヴァイティ 5 ジャクソン・ヘモポ 6 セルホゼ 7 吉田杏 後半28分 OUT → IN 3 淺岡俊亮 8 マリノ・ミカエリトゥウ 後半23分 OUT → IN 23 鶴谷昌隆 9 岩村昂太 10 三宅駿 11 小泉怜史 12 ハニテリ・ヴァイレア 13 ルカニョ・アム 14 マット・ヴァエガ 15 ジェームス・グレイソン 16 宮里侑樹 17 安昌豪 18 ピーター・ショルツ 19 フリードル・オリヴィエー 20 佐藤弘樹 21 中森隆太 22 加島DJ 23 鶴谷昌隆
横浜キヤノンイーグルス
1 岡部崇人 後半33分 OUT → IN 17 南友紀 2 庭井祐輔 後半22分 OUT → IN 16 中村駿太 3 杉本達郎 後半7分 OUT → IN 18 祝原涼介 4 ランダル・ベイカー 後半18分 OUT → IN 19 秋山大地 5 リアキマタギ・モリ 後半7分 OUT → IN 20 コルマック・ダリー 6 ビリー・ハーモン 7 古川聖人 後半34分 OUT → IN 21 ジャンドレ・ラブスカフニ 8 サウマキアマナキ 9 土永旭 10 田村優 後半33分 OUT → IN 23 小倉順平 11 ヴィリアメ・タカヤワ 12 森勇登 13 田畑凌 14 石田吉平 15 武藤ゆらぎ 16 中村駿太 17 南友紀 18 祝原涼介 19 秋山大地 20 コルマック・ダリー 21 ジャンドレ・ラブスカフニ 22 山菅一史 23 小倉順平