「勝てるラグビーの構築」がテーマに。エディー・ジョーンズHC会見 | ラグビージャパン365

「勝てるラグビーの構築」がテーマに。エディー・ジョーンズHC会見

2025/08/14

文●編集部


14日、ラグビー日本代表、エディージョーンズHCは先日発表された合宿参加メンバーのセレクションについてオンラインで会見を行った。昨年はフィジーに敗れ準優勝となった日本代表は、カナダ代表戦を皮切りに優勝を狙いに行く。エディー・ジョーンズHCが掲げる、超速ラグビーの進化、空中戦での強化、何よりも勝てるラグビーの構築が重要なテーマとなる。今回の合宿では、キックを使った戦術の再構築、FWとBKを分けて合宿を行いもう一度土台づくりをする点、さらに次世代リーダーの育成など様々な取り組みが施されている。そうした意図についてエディーHCが取材陣の質問に応じた。

ラグビー日本代表 エディー・ジョーンズHC

今回のPNCは、本当に日本代表にとって素晴らしい大会になるので楽しみにしています。カナダ代表、アメリカ代表と対戦があって、その後、準決勝、決勝と勝ち進んでいくことが我々の目標です。昨年は2位で終えたのですが、さらに上位で終えたいと思います。

今回、発表されたスコッドは強いスコッドだと思います。11人がケガや個人的な理由で不参加になりましたが、手応えを感じているメンバーだし、誇らしいプレーをしてくれると思います。

PNCで自分たちのラグビーを発展させていきたい。超速ラグビーのアイデンティティーは確立できたと思うが、さらに発展させて、勝てるようなラグビーを構築することがPNCの目標となります。

――6月、7月 フルで参加したが今回、FLリーチ、トゥポウ、WTBヴァイレア、植田といったメンバーから外れた選手がいます。


今回選ばれていない選手に関して発言するつもりはないが、リーチは個人的な都合で参加しないことになったが、11月のツアーには参加可能になることを祈っています。

我々は、今回入っている選手は、この5週間で、フィットネスを上げた選手が入っています。ウェールズシリーズでもある一定のレベルまで挙げたが、まだまだ足らなかった。入らなかった選手はなぜ、入らなかったか理解している。(試合で活躍したかどうかと、この5週間の取り組みの)両方の要素を加味した上で選んでいます。

今回のメンバーには入らなかったWTBハラトア・ヴァイレア

今回のメンバーには入らなかったWTBハラトア・ヴァイレア


――アメリカツアーはこのスコッドの中から選んでいくのか?


基本的にはこの中から選んでいくが、ツアーは30名なので、選手はベストな状態を見せて、ポジション争いが激化するので、大事な2週間になると思います。
(アメリカのビザ取得は難しい可能性はあるが)現状では、そういう問題は浮上していない。

――PNCで、どこのエリアを一番、試したいのか?


ラグビーは常に発展していて、ライオンズ対オーストラリアは、クオリティーが高かった。空中のコンテストは30回以上あって、それ以外にもブレイクダウン、さらにスクラム、ラインアウトのコンテストはあるが、空中戦が重要視されている。空中戦で勝つか負けるかが、試合の勝敗まで決めることになっているので、そこを長けていないといけない。ただリーグワンでは重要視されていないので、選手たちを教育して、空中戦で競って勝てるようにしていかないといけないので、そのあたりを着目していかないといけない。

新しくディフェンスコーチに就任したギャリー・ゴールド氏

新しくディフェンスコーチに就任したギャリー・ゴールド氏


――DF担当のギャリー・ゴールド氏がコーチに就きました。


ゴールド氏は経験値の高いコーチで、イングランドのクラブチームでも経験があり、インターナショナルレベルでは南アフリカ代表の黄金期で4年間コーチし、アメリカ代表のヘッドコーチを務めました。彼とともに素早く動けるディフェンスを構築したいし、それに早速、着手していきたい。


――キャプテンやリーダー陣は?


キャプテンやリーダーは、そこもまさに重点的に育成していかないといけない。リーチは2015、2019年W杯はキャプテンでチームを率いた経験があり、いまだにベストなキャプテンだと思っていますが、次世代のリーダーや将来的に日本人のキャプテンを育成しないといけない。そのプランがあります。誰が役割を担うのか、ファーストテストマッチ(カナダ代表)の前に発表したいと思います。選ばれた選手は準備しないといけないし、かなりの役割を埋めないといけないので、徐々に力量やキャパシティーを上げていきたいと思います。

――勝てるラグビーとは具体的に?


先ほど説明したところと重複しますが、空中戦に勝たなければいけない。ウェールズ2戦目は、空中戦に勝てなかったので負けて、初戦では空中戦に勝てたので勝てた。ここをしっかり強化しないといけないし、日本代表としてのやり方も構築していかないといけない。日本代表は本来、キック起用してこなかったので独自のやり方を構築しないといけない。

コーチ陣が宮崎組と東京組に分かれていますが、今、議論しています。超速ラグビーを維持しながらキックを交えていくにはいろんな案があります。ウェールズシリーズは、キックに対する意識が行きすぎて、アタック力が低下してしまったことがある。

だから、その瞬間、瞬間、ゲームがどういう流れになっているか、その瞬間に判断していかないといけないところもあるが、同時に、キックをするためのストラクチャーも作らないといけない。他の国のようにおのおのに自由にキックすることはできないので、我々独自のやり方で構成された形でキックをしていかないといけない。そこに着手しないといけない。

石田吉平

石田吉平


――空中戦で期待している選手は


あまり個人というところより、チームのストラテジーで考えているが、個人を挙げるのであれば、WTB石田です。初のテストマッチ2戦で見せてくれた。身長が低い選手にかかわらずものすごく飛べる。空中戦ではすばぬけた能力があり、南アフリカ代表のWTBアレンゼ、コルビに似たような選手だと思います。

他のWTBにはそれをできる力量を育てていかないといけないが、長田は度胸があり、フィットしてきたのでスコッドに入っています。WTB木田は常に注目していた選手で、ケガで参加できなかったがフィットしたのでメンバーに入った。大きくて強くて、空中で競る度胸のある選手です。WTB石田が成長してポジティブなところにこの2人を強化していきたと思っています。

――東京と宮崎に分けて合宿する意図は?


まず、土台作りにフォーカスしたいと思ったので分けています。FWは東京でセットプレーをやっています。BKはセットからのプレーにこだわってやる。そして効果的にキックを使う新しいアプローチも構築していきたい。(PNCは)1ヶ月のキャンペーンなので、序盤はFW、BKで具体的にこだわってやることに集中してやっていけるように(FWとBKと)分けています。


――LO伊藤鐘史、山本秀が初めて代表合宿に呼ばれました。大学生唯一のスコッドとしてFB竹之下仁吾が選ばれています。


まずLOに関してですが、LOの層が薄いというのがあるので、そこを育成していかないといけない。今は、ディアンズに非常に頼りっきりなところがある。彼はSRでプレーするので、PNC後はどうなるかわからないので、伊藤、山本を呼んだ。(2人は)ポテンシャルがあって、安定的なプレーができるかもしれないと選んだ。

代表初招集となった伊藤鐘平(東芝ブレイブルーパス東京)

代表初招集となった伊藤鐘平(東芝ブレイブルーパス東京)


竹之下以外にも大学生で呼びたい選手がいたが彼らは参加できないということで、彼だけになり、彼をテストレベルまでできるように育成を加速させたい。 了承してくださった明治大学に感謝しています。

11月も大学生の選手たちが参加する可能性はかなり低いです。初めて日本に来た1996年から変わっておらず、タイムマシンに乗って50年後へいってもその状況は変わらないと思います。ただ大学とは良い関係を作らないといけないし、我々も大学の置かれている状況を理解していますし、大学側も日本代表の状況を理解してくれていると思うが、トライし続けることが大事かなと思います。

マオリ・オールブラックス戦に出場したWTB竹之下仁吾

マオリ・オールブラックス戦に出場したWTB竹之下仁吾


――FL奥井を今回、再び選びました


彼は取り組む姿勢が素晴らしくて、成長する意欲、向上心もあります。テストマッチに通用する体作りも徹底的にやっています。スピードを持ってコンテストを繰り返すことができるか、またボールを奪い返す選手が必要なので、彼を育てていきたい。(オープンサイドFLを考えています)はい。

奥井章仁

奥井章仁


――秋に代表資格を得られそうな選手を今回の合宿に呼ぶ可能性はある?


今回の合宿では呼びません。

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