21日、ラグビー日本代表は「アサヒスーパードライ・パシフィック・ネーションズカップ2025」決勝でフィジー代表と対戦。前半4連続トライでリードを許すも、後半巻き返しを図り6点差に追い詰めるも届かず、27‐33で敗れた。敗れたものの、主力選手が怪我により欠場、試合直前にCTBディラン・ライリーが欠場し、CTB廣瀬雄也が先発。リザーブには池田悠希(リコーブラックラムズ東京)が入った。アクシデントに見舞われたが、逆に選手層の厚さ、チームとしての成長を感じさせる戦いを見せた。
2025/09/21
文●編集部
エディー・ジョーンズHC
――日本はサイズ的にもそこまで有利なわけではないですが、素早さだったりとか流れるプレーがあると思うんですけど、フィジーやトンガのような体格が大きいチームに対してどういうふうな対策をしていますか。
我々はそこに優位性を見出さねばなりません。パワーもサイズもない状況での優位性とは、技術とスピードで相手を打ち負かし、戦術的に鋭くあることです。そして今日のフィジーには本当に驚嘆しました。彼らの運動能力は桁外れです。世界のラグビー界において、おそらく最も運動能力に優れたチームでしょう。
我々がターンオーバーの機会を与えるたびに、彼らはそれをトライへと変えました。しかし後半は、我々は非常に良く対応できたと思います。戦術的にも的確なプレーができました。懸命に戦いました。そして、ワーナーがロックの選手を追いかけて反対側まで走り抜けたプレーは、まさにハイレベルなプレーでした。

ワーナー・ディアンズ
選手たちから、そうしたプレーがさらに見られました。本日の敗戦は厳しい結果ですが、チームとして大きな進歩を遂げました。良いプレースタンスを確立できたため、11月に向けて前進したいと考えています。3週間後にはオーストラリア、アイルランド、南アフリカとの対戦が控えております。少なくともいずれかのチームを打ち負かすことが我々の目標です。

今大会初先発のWTB木田晴斗
――日本のラグビーにどういう風な日本の文化的要素を取り入れているのですか
日本のラグビーには独特の良さがあると思います。どの国にもそれぞれのやり方があるでしょう。そして日本は昔から非常に創意工夫に富んだ国で、いろんな問題の解決策をを見出してきました。第二次世界大戦後の日本の復興を見れば、そうした解決策を見出す力がお分かりいただけるでしょう。

竹内柊平
そして本日(の試合)は特に嬉しく思っています。基本的に日本人選手で構成されたチームが、数名の優秀な外国出身選手を交えつつも、チームのために戦う姿勢は非常に日本的だったからです。これは良い傾向です。日本の子供たちがフィジー代表戦で活躍する選手たちを見て「自分もできる」「あんな風に戦える」と思うでしょう。それが彼らに希望を与え、もう少し努力して鍛え、体力を増し、技術を磨き、トップレベルで誰とでも戦える選手になれると気づかせてくれるのです。

エディー・ジョーンズHC
――PNCを終えて課題に感じるところは
本日は、トランジションディフェンスの改善が必要であることが明らかであったと思います。前半だけで26点を失いましたが、そのほとんどがトランジションプレーによるものでした。したがって、この点は我々が重点的に取り組むべき課題です。しかしながら、セットプレーにおいて勝利への道を見出す能力には、今回も大変満足しています。
スクラムをご覧いただければ、後半は我々が優位に立っていたことがお分かりいただけるでしょう。スクラムを見れば、後半は我々が支配していました。ラインアウトも同様で、後半は我々が優位に立っていました。ですから、これは我々にとって非常に喜ばしいことです。
試合中に戦術的に異なるアプローチを取れる能力は、トップ10のチームと互角に戦えるチームになるために、そしてトップ10のチームを打ち負かすために、大いに役立っていると思います。それが我々の目標です。ご存知の通り、我々は現時点でその圏外にいます。まずはトップ10入りを果たし、さらにトップ4を目指すのが目標です。その道筋を順調に進んでいると言えるでしょう。

この試合はFLで出場したファウルア・マキシ
――日本代表では6人のトンガ出身の選手がプレーしていますが、彼らはどういう影響を与えていますか
本日はルア(マキシ)とアマト(ファカタヴァ)、おそらくトンガ出身の選手は2人だけでしたが、彼らは非常に力強い選手です。日本人選手に元来備わっていないものの一つがパワーで、それは体格が小さいからです。ですからトンガの選手は圧倒的なパワーを持っており、この2人の選手は大学レベルで来日しました。そのため日本語を理解し、自ら進んで日本の文化に溶け込んでいます。
これは決して大げさではなく、異なる文化が融合し、共に働くことができるという好例です。
アメリカに滞在し、フォックスニュースやCNNニュースを見て、国内の分断を目の当たりにした私たちが目指すのは、人々が協力し合える模範となることです。生まれ持った文化は異なっても一つの文化の中で共に働くことは可能です。
トンガのラグビーが世界のラグビーに与えた影響は本当に驚くべきものですよ。10万人ほどの人口(の国)で、とりわけ充実した設備があるというわけでもありません。しかし、トンガは豊かな才能を持つ選手たちを数多く輩出しています。
今日のトンガ代表の3位決定戦の勝利には本当に満足しています。以前、誰かにこう話したことがあります。これは私が見た中で最も準備の整ったトンガ代表チームだと。ですから、彼らが勝ち抜いたことは素晴らしいことです。そして私たち日本代表の2人の選手も、私たちにとって真の戦士です。
LOワーナー・ディアンズ キャプテン

ワーナー・ディアンズ
――素晴らしいパフォーマンスでした。特にディフェンスのところでのタックルの取り組みや、タックルしてから逆際のところに行ってタックルするというところで、ディフェンス的にどういうところを意識してやってましたか。
そういう厳しい状況では、ただひたすらチームのために懸命にプレーしています。特定のポジションにこだわるよりも、チームが必要とする場所に素早く動くことを心がけています。試合によってはタイミングが合わないこともありますが、今日は幸運にも間に合うことができました。
――フィジーとトンガ、フィジカル面などでどういう違いがありますか
両チームとも非常にフィジカルが強いです。ご存知の通り、アイランダーのチームは皆、戦いづらい相手です。エディが先ほど話したように、フィジー代表は特にそうです。彼らは非常にフィジカルが強く、素早いオフロードプレーを好みます。いわゆるフィジー流の華やかなラグビーですね。
これが最大の違いだと思います。トンガも確かに大きく力強いフォワード陣ですが、フィジーも同様に大きく力強い。しかしフィジーにはスピードと鋭さがあり、それがディフェンスを非常に難しくし、対戦相手にとって本当に厄介な存在にしているのです。
SCOREBOARD
JAPAN

初キャップを獲得したCTB池田悠希
FIJI
GALLARY

下川甲嗣

江良颯

奥井章仁

小林賢太

CTB中野将伍

江良颯の先制トライ

木田晴斗