太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2024が4月6-7日の北九州大会で開幕する。
全大会16チーム参加で行われた昨季から今季は12チームによる大会に戻り、第1戦は初の九州開催となる北九州・小倉のミクニワールドスタジアムで開催され、以後熊谷・鈴鹿・花園の計4大会を実施する。
今年はパリ五輪を控えていることも考慮されてか、開幕が繰り上げられ4月6日に開幕。過去最も早く開幕したのは2015年の保土ケ谷大会と2022年の熊谷大会の4月23日だったから、2週間以上も更新することになる。
RJ365では開幕に先立ち、太陽生命シリーズ参加各チームの新戦力情報を複数回に分けてお届けする。第1回は王座奪還を狙う東京山九フェニックスと日本体育大学女子。
東京山九フェニックス
・松田凜日 FB、WTB、CTB 国学院栃木-日体大 170/77 サクラ15、サクラ7s
・小牧日菜多 PR 石見智翠館-日体大 166/77 サクラ15
・地蔵堂萌生 LO 筑紫-日体大 164/74
・尾崎夏鈴 WTB 石見智翠館-四国大 166/59
・妹尾安南 SH 延岡星雲-日経大 157/58
・サバナ・ボッドマン NO8/WTB カモ高(NZ)-日経大 167/63
・野口明彩陽 SO 府中Jr/千歳中―石見智翠館 162/62
・杉浦夏麗 LO/No8 桐蔭学園 175/72
・野澤友歩 SO 枚方RS/楠葉中-四日市メリノール/パールズJr 157/55
・野澤友那 CTB 枚方RS/楠葉中-四日市メリノール/パールズJr 156/57
大型補強をいち早く発表したのは一昨季の太陽生命シリーズチャンピオンにして15人制全国女子選手権2連覇の東京山九フェニックスだ。
最注目のビッグネームは日体大から加入した日本女子ラグビーの新時代エース松田凜日だ。

松田凛日
男子15人制でワールドカップ4大会出場、7人制では第1回ワールドカップのボウル優勝に貢献したレジェンド松田努さんを父に持ち小学生時代から注目を集め、太陽生命シリーズには国学院栃木高1年のときにチャレンジチームでデビュー。高1で日本選抜、高3でサクラセブンズ入りしてワールドシリーズデビュー、大学3年の2022年にはサクラ15で15人制ワールドカップ全試合出場。
昨年はセブンズに戻って現在はパリ五輪を目指している。パリ五輪を控えたシーズンだけにフェニックスで大会に出場するチャンスがあるかどうかは微妙か。

小牧日菜多
松田とともに日体大から加入したのがPR小牧日菜多とLO地蔵堂芽生。小牧は昨秋のWXVで全3試合にPRで出場、地蔵堂はWXV出場はならなかったが最終スコッドに入っていた実力者で、ともに15人制のスペシャリスト。太陽生命シリーズには当面、出場機会はないかもしれない。
太陽生命シリーズで活躍が期待できそうなのは、四国大から加入の尾崎夏鈴、日経大から加入の妹尾安南とサバナ・ボッドマンという3人か。
ボッドマンはNZ出身。日経大ではセブンズではBK、15人制ではバックローでプレーしていた。懐の深さとタックルされても倒れずに前へ進む推進力が武器だ。同じく日経大から加入の妹尾は日経大アマテラスの初代主将として創部から4シーズンを引っ張ったリーダーシップの持ち主。すでにオーストラリア・スーパーWのフォースに留学して腕を磨いている。尾崎はストライドの大きさを生かしたダイナミックな走りが魅力のトライゲッターだ。

サバナ・ボッドマン
さらに高卒の楽しみな若手も続々加入。
野口明彩陽(あさひ)は昨季の石見智翠館の主将。府中ジュニアー千歳中の出身で、昨秋のU18女子セブンズでは4試合で3トライをあげた。
桐蔭学園から加入した杉浦夏麗(かれん)は昨夏のコベルコ杯の優秀選手。172㎝の長身でスケール大きなプレーが魅力だ。

杉浦夏麗
そして四日市メリノールからやってきたのが野澤友那・友歩の野澤ツインズだ。友歩が姉で友那が妹。四日市メリノールでは妹の友那が主将を務めていた。
退団選手はニア・トリバー、鈴木実沙紀、塩崎優衣、佐々木千颯、高橋李実、高橋美悠、高橋彩吹。絶対的エースとして過去2シーズン、大会に君臨してきたニアは退団。後を継ぐトライゲッターは誰になるか。2月の全国選手権で国内シーズンが終了したあとは15人制でオーストラリアに遠征し、さらに香港テンズにも出場。セブンズに向けた準備という点では他チームが先攻しているかもしれないが、インターナショナルの経験値がどうセブンズに生きるかに注目したい。
日本体育大学女子
・谷山三菜子 SO 玄海Jr-佐賀工 163/59 22、23ワールドユース
・鈴木芭菜 CTB 麗澤 157/55
・橋本佳乃 FL 本庄/アルカスユース 164/54
・細合智羽 PR 田園RS―関東学院六浦 163/63
・八尋 瑛 PR 川﨑市RS-石見智翠館 164/64
・萩原 凛 FL 藤沢RS―石見智翠館 163/63
・湯浅月葉 LO 浜田東中―石見智翠館 166/65
・樫山純佳 PR 田辺/和歌山パシフィックオーシャンズ7 159/65

谷山三菜子
その松田凜日らを送り出した日体大も、新加入選手8人を迎えた。
注目選手NO1は谷山三菜子。佐賀工1年から太陽生命シリーズのチャレンジチームを、同年にはNZ留学も経験。キック、ランともに優れ、トップランナーとして世代をリードしてきた逸材だ。高2では全国U18女子セブンズで準優勝している。谷山家は兄が昨季の筑波大主将で男子セブンズスコッドの隼大、長姉・美典は立正大/アルカスを経てアザレアセブンで、妹・雅は佐賀工の新2年という有名なラグビーファミリーだ。
鈴木芭菜はタフに身体を張る麗澤の主将。アルカスユースから加入の橋本佳乃はハードタックラーで、U18女子SDSのメンバーとしてグローバルユースセブンズ2023出場、準優勝の一員となった。
レスリングで和歌山県大会優勝歴を持つ樫山純佳のポテンシャルも楽しみだ。

橋本佳乃
![]() (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |