サクラセブンズ、初戦でNZに善戦するも力負け―パース大会は6位で終える | ラグビージャパン365

サクラセブンズ、初戦でNZに善戦するも力負け―パース大会は6位で終える

2026/02/09

文●大友信彦


HSBC SVNS2026第4戦のパース大会が2月7日〜2月8日に行われ、サクラセブンズは6位で大会を終えた。

ドバイ大会で過去最高の3位、続くケープタウン大会での5位からシンガポールで7位に後退したサクラセブンズ。再び4強入りを目指した第4戦のパース大会だったが、シンガポールに続き厳しい戦いとなった。

サクラセブンズはシンガポールのメンバーから秋田若菜・永田花菜に代えて三枝千晃と吉野舞祐を登録。主将は内海春菜子から、これが初キャプテンとなる庵奥里愛に交代して臨んだ。

登録メンバーは以下の通り。(*頭数字は背番号、カッコ数字はキャップ数、◎は主将)

1.三枝 千晃 北海道バーバリアンズディアナ(33)
3.梶木 真凜 自衛隊体育学校PTS(34)
4.内海春菜子 YOKOHAMA TKM(22)
5.大谷 芽生 ながとブルーエンジェルス(35)
7.吉野 舞祐 ナナイロプリズム福岡(24)
9.松田向日葵 追手門学院大学VENUS(9)
10.谷山三菜子 日体大ラグビー部女子(11)
11.平野 優芽 ながとブルーエンジェルス(51)
13.大内田夏月 Pearls(4)
14.須田 倫代 Pearls(24)
17.小西 春菜 追手門学院大VENUS(2)
19.大内田葉月 日体大ラグビー部女子(2)
21.庵奥 里愛 Pearls(6)◎

vs NZ 12-34(●)

初戦の相手はドバイとシンガポールで優勝し、ここまでポイントランキング首位のニュージーランド(NZ)。サクラセブンズの兼松由香HCはシンガポール〜パースと続く2大会への出発前「この2大会では2強(NZとオーストラリア)の一角を倒すのが目標。それができたら仮に8位で終わっても構わない」とテーマを話していただけに、初戦こそがパース大会最大のターゲットだった。

そしてサクラセブンズは、そのNZ戦で確かに力を発揮した。

先制トライは奪われたものの、4分、相手陣で得たPKを平野優芽がクイックで仕掛け、大谷芽生‐庵奥里愛とつないで右へ。うまく開いた大内田夏月が相手タックルをかわして右隅に飛び込み、5−5の同点に追いつく。

5−10にフェリックスホッサムにトライを返され5−10とされた前半6分には須田倫代のブレイクで相手ゴール前に攻め込むが、惜しいところでトライを取り切れずにハーフタイム。

それでも日本は後半キックオフで敵陣に入るとディフェンスでプレッシャーをかけ、相手ミスを誘ってボールを奪うと大谷がゲイン。さらにラックから右へ持ち出した大谷につられて相手DFに隙間が出たところへクロスした梶木が走り込んでトライ。須田のコンバージョンも決まり、後半2分でサクラセブンズが12−10とリードを奪った。

だが勝負のかかった後半なかばから試合の主導権を握ったのはNZだった。10分、中盤の混戦からステップで抜け出したミラーが約75mを走り切ってトライ。12−15と逆転された日本は次のキックオフレシーブからPKを得て速攻に出るが、止められて逆にPKを奪われトライを献上。さらに2トライを加えられ12−34で敗れた。

日本にとっては後半途中でリードを奪うという、スコア的には狙い通りの展開だったが、攻め込んだチャンスにトライを取り切れなかったのが悔やまれる。裏返すと、トライ濃厚に見えた場面をしのいだNZのディフェンスはみごとだった。

大内田夏月のトライ

大内田夏月のトライ


大内田を祝福する庵奥主将

大内田を祝福する庵奥主将


妹でチーム最年少19歳の大内田葉月も奮戦

妹でチーム最年少19歳の大内田葉月も奮戦


今大会で復帰した三枝は力強いキャリーを反復

今大会で復帰した三枝は力強いキャリーを反復


後半、梶木真凜のトライ

後半、梶木真凜のトライ


vs アメリカ 14-38(●)

続く2戦目はシンガポールの初戦で逆転負けしたアメリカが相手。日本は開始早々に三枝のトライで先制したが、そこからなかなか追加点が奪えず。拮抗した展開が続いたが、5分、前半ロスタイムの8分と連続トライを奪われ、7−12でハーフタイム。後半、追いあげたい日本だったが、最初のキックオフがノット10mとなり、FKからトライを許すとそこから相手のスピードランナーにディフェンスのギャップを突かれ3連続トライを献上。日本は14分、須田が自陣から独走トライを返すが、さらにトライを狙いに出たところでボールを失い、逆にトライを献上。14−38で大敗した。

試合前のハドル

試合前のハドル


相手キックオフを大内田葉月がリターン

相手キックオフを大内田葉月がリターン


三枝千晃がDFを突破して先制トライ

三枝千晃がDFを突破して先制トライ


主将を務めた庵奥里愛

主将を務めた庵奥里愛


パース大会で復帰した吉野舞祐

パース大会で復帰した吉野舞祐


後半、豪快なトライで意地を見せた須田倫代

後半、豪快なトライで意地を見せた須田倫代

vs フィジー 31-14(◯)

プール戦で2連敗となり、4強入りのなくなった日本はプール最終戦でフィジーと対戦。日本は開始早々、自陣から三枝千晃がビッグゲイン。捕まったラックから須田―大谷―須田と鮮やかな外側ループで相手DFを外し、左エッジで余った大内田夏月がノーホイッスルで先制トライ。5−7と逆転された4分には相手キックオフをリターンした須田からオフロードパスを受けた大谷がDFの真ん中を突破して60m独走トライ。フィジーもトライを返すが、7分には三枝が自陣から約70mを独走するトライで19−14と逆転。折り返した後半は4分に吉野舞祐が70m独走トライで突き放すと、最後は連続カードで2人足りなくなった相手から内海が理詰めのトライ。ディシプリンの課題を露呈したフィジーに対し、日本は31−14のビッグスコアで勝利した。

DAY1のプール戦でA組3位となった日本は4強による決勝トーナメントへの進出はならず、DAY2は5位以下戦にまわることになった。

最年少ながら三枝とともに全5試合に先発、FW兼BKで奮闘した大内田葉月

最年少ながら三枝とともに全5試合に先発、FW兼BKで奮闘した大内田葉月


豪脚を発揮して後半70m独走トライを決めた吉野舞祐

豪脚を発揮して後半70m独走トライを決めた吉野舞祐


大内田葉月

大内田葉月


仕上げのトライを決めた内海春菜子

仕上げのトライを決めた内海春菜子

vs 英国 29-7(◯)

DAY2の初戦はB組4位の英国が相手。シンガポール大会では最後の7/8位決定戦で対戦し、41-5で大勝している。今回も日本はキックオフで敵陣に入るとディフェンスでプレスをかけ、相手ボールを奪うと平野優芽のキックパスを松田向日葵が捕り、三枝千晃が先制トライ。日本は次のキックオフからもディフェンスで相手ボールを奪い、三枝が連続トライ。日本は平野優芽と谷山三菜子の2人が目まぐるしくSHとSOの位置を入れ替えながらアタック。どちらもパス、キック、ランを自在に操ることに加え、同じブルーのヘッドキャップを着用。相手チームからは見分けがつかない、まさに「分身の術」に見えただろう。

日本は次のキックオフもキープしてアタックし、相手のデリバレートノックオンでイエローカード、数的優位を得るとスクラムからワイドアタックで内海春菜子がゴール前に持ち込み、いちはやく走り寄った庵奥主将がボールをライン上に置き直してトライ。17−0で折り返すと、後半も相手のキックオフを内海がリターンして相手陣22m線付近までビッグゲイン、必死に追いすがった相手タックルを引き付けてサポートの谷山につなぎノーホイッスルトライ。さらに12分には梶木がジャッカルでPKを奪うと自らタップして仕掛け、松田から須田につないでトライ。最後に英国に1トライを許したが、29−7の完勝で5位決定戦に進んだ。

抜群の強さを発揮した三枝、今大会チーム最多の4トライ

抜群の強さを発揮した三枝、今大会チーム最多の4トライ


SH兼SOとして忍者ラグビー体現を担う谷山三菜子

SH兼SOとして忍者ラグビー体現を担う谷山三菜子


FW兼BK、ブレイクダウンと突破役を担う大内田葉月

FW兼BK、ブレイクダウンと突破役を担う大内田葉月


体の強さと柔らかさを兼ね備える松田向日葵

体の強さと柔らかさを兼ね備える松田向日葵


ハードタックル&ジャッカルを反復した梶木真凜

ハードタックル&ジャッカルを反復した梶木真凜

5位決定戦決勝  vs カナダ 5-36(●)

そして迎えた最後の5位決定戦はカナダとの対戦。今季はドバイのプール戦では21―19、ケープタウンではプール戦で26―19、最後の5位決定戦で12―10と日本が3連勝中だが、すべて僅差だ。

そして今回はカナダが前半から猛攻に出た。日本のキックオフを捕ると自陣から少ないパスでDFの隙間にアタック。日本も必死に止めるが、フェイズを重ねて16コリガンが突出。日本陣に入ったところで一転、ワイドに展開して19ノルステンが先制トライ。日本は大内田夏月がトライ体勢に入った相手をタックルでタッチに突き出すなどディフェンスで食い下がったものの、前半は3トライを奪われ前半は0−17。

反撃に出たい日本は後半、相手キックオフを内海が捕り、ラックから右を突いた平野がブレイク。追ってきた相手DFを巧みなスピードコントロールで振り切り70mを走り切ってトライ。5−17とする。

4分には相手キックに内海がよく戻り、自陣ゴール前でPKを獲得。しかしそこで選択したスクラムでプレッシャーを受け、PKから痛恨のトライを奪われるとさらに2トライを献上。5−36で敗れた。

突破に加えパスでも働く大谷芽生

突破に加えパスでも働く大谷芽生


70m独走トライを決めた平野優芽

70m独走トライを決めた平野優芽


1対1の勝負強さが光った須田倫代

1対1の勝負強さが光った須田倫代


国際級のステップとスピードをアピールした小西春菜

国際級のステップとスピードをアピールした小西春菜


5戦を戦い抜き仲間同士を労うサクラセブンズ

5戦を戦い抜き仲間同士を労うサクラセブンズ



サクラセブンズはパース大会を6位で終了。シンガポール大会の7位からは1歩前進した。一方、総合ポイントでは前回36ポイントで5位タイで並んでいたカナダに最後に敗れたため単独6位に後退。とはいえカナダとのポイント差は2点。今大会は「分身の術」を新たなキーワードに新たな戦術テストも試みていただけに、順位だけで悲観する必要はないだろう。相手にプレッシャーをかけながらディフェンスに隙間ができてしまい、スピードで抜かれる場面が目立った部分を整備するなど、実戦で出た課題を修正することでステップアップしたい。

シンガポール大会終了後、第5戦となるバンクーバー大会(3月7日~8日)の組み分けが決定。日本はNZ、フランス、英国とともにA組に入ることが決まった。初戦のドバイ以降遠ざかっている4強に進出するためにもまず初戦でケープタウン3位&パース4位のフランスに勝ち、2戦目のNZに思い切り挑みたい。

バンクーバーは昨年、サクラセブンズが史上初の4強入りを勝ち取ったゲンのいい大会。再び歴史を創り、グッドニュースを届けてくれることを期待したい。

日本協会から発表されたコメントは以下の通り。


兼松由香HC

兼松由香HC

兼松由香HC


「今大会も連日たくさんの応援をいただきありがとうございました。猛暑の中、選手たちは最後まで強い気持ちを持って戦い抜いてくれました。シンガポール大会を通して世界トップ8でサクラセブンズのラグビーを体現するためには、目に見えないもので繋がることが基盤にあることに気づきました。パースに入ってからはチームやお互いのことを考える時間を費やし、そこから生まれた強気の一歩が6位という結果に繋がったと思います。日本に帰ってからもこうした営みを大切にし、再びベスト4の舞台に立てるよう、一歩ずつ選手・スタッフ全員で成長し続けます。これからもサクラセブンズの応援をどうぞよろしくお願いいたします」

庵奥里愛キャプテン

庵奥里愛

庵奥里愛


「今大会もたくさんの応援ありがとうございました。シンガポール大会、パース大会と続き、チームとしてめざしていた結果には届きませんでした。私自身も今大会はキャプテンを務め、チームを上位に導くことができず悔しい思いでいっぱいです。ここから順位を上げるためには、個々ではなく組織として7人全員が繋がりつづけるラグビーをする必要があると思います。帰国しまた国内での合宿を通してチーム全員で成長し続け、チーム力を向上できるよう取り組んでいきます。これからもたくさんのエールをいただけたら嬉しいです。ありがとうございました!」

大谷芽生選手

大谷芽生

大谷芽生


「シンガポール大会に引き続きパース大会もたくさんの応援ありがとうございました。シンガポール大会を終え、選手間でのコミュニケーションにフォーカスして今大会に挑みました。望んでいた結果ではありませんでしたが、残りの大会に向けてまたチームにとって良い1歩になった思います。この結果をしっかりと受け止め、今回でた反省を日本に戻り取り組んでいきたいと思います。またコミュニケーションの質にもこだわり次のバンクーバー大会ではブレイクスルー出来るように全員でまた頑張っていきたいと思います。今後とも応援よろしくお願いいたします。」

三枝千晃選手

三枝千晃

三枝千晃


「いつも温かく応援していただきありがとうございます。まず、2週連続というハードスケジュールの中、常にハードワークし続けたチーム全員を誇りに思うとともに、心から感謝しています。今大会は、ニュージーランドに勝つこと、そしてベスト4に入ることを目標に、コミュニケーションで繋がり続けることを意識して臨みました。結果として勝てない試合が続き、とても悔しいですが、プレッシャーのかかる場面での判断や、細かいプレーやコミュニケーションの精度など、課題を見つけることができました。今回見つかった課題を改善し、次に繋げられるよう、チーム全員でがんばります」

谷山三菜子選手

谷山三菜子

谷山三菜子


「サクラセブンズの応援ありがとうございました。パースに来たときから自分たちで現状を話し合い今のサクラセブンズに向き合ってより繋がりを深め臨めた大会でした。シンガポールに続き、勝ちきれない試合が多かったのですが、現実を受け止め、また挑戦者として上に向かって頑張っていきたいと思います。今後ともサクラセブンズの応援をよろしくお願い致します」

吉野舞祐選手

吉野舞祐

吉野舞祐


「いつもサクラセブンズの応援ありがとうございます。今大会は、隣との繋がりやコミュニケーションにフォーカスして試合に臨みました。うまくいかない時間帯が多く、悔しい結果にはなりましたが、最後まで13人全員で戦い抜くことができたと思います。次の大会に向けて、もっと成長して1つでも上の順位を目指せるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします。」

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。

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