サクラセブンズ、シンガポール大会は7位で終える―米国には惜敗、豪州には肉薄、収穫を胸に次戦パースへ | ラグビージャパン365

サクラセブンズ、シンガポール大会は7位で終える―米国には惜敗、豪州には肉薄、収穫を胸に次戦パースへ

2026/02/02

文●大友信彦


HSBC SVNS2026第3戦のシンガポール大会が1月31日~2月1日に行われ、サクラセブンズは7位で大会を終えた。

ドバイ大会で過去最高の3位、続くケープタウン大会では5位となり、ここまでポイントランク3位と好調の日本だが、第3戦は厳しい展開となった。

ケープタウン大会から1カ月強、今季目指す「忍者ラグビー」に新たに「分身の術」を加えることをテーマにして準備してきた日本は、初戦でケープタウン4位のアメリカと対戦。開始早々、相手アタックを止めた日本はハーフウェー付近のスクラムからアタック。大谷芽生、梶木真凜、平野優芽のランで相手ゴール前に攻め込むと、これがワールドシリーズデビューとなったチーム最年少19歳の大内田葉月がデビュートライで先制。6分には相手ゴール前でPKを得ると、相手にシンビンが出たのを確認してスクラムを選択し、防御の薄い外側へボールを動かし内海春菜子主将がトライ(永田花菜C成功)。7分には相手キックをチャージした大内田葉月が自ら拾って独走トライ(須田倫代C成功)。前半を19-0と大きくリードする。

しかし後半はアメリカが猛反撃。8分、スクラムから深いラインで大きく動かすアタックに対応しきれず初トライを許すと、11分、12分にもフィジカルを活かした相手アタックにタックルに行っても止め切れずに連続トライを献上し、19-17の2点差に。だがここで米国はキックオフ前に時間をかけすぎ遅延行為で日本にFK。残りは57秒、日本は1分間我慢できれば勝利だったが、ここでロングパスを試みて落球。そのスクラムから相手24アデゴケに走りきられて逆転トライを献上。19-22で、九分九厘手にしていた勝利を逃してしまった。

デビュー戦で先制トライをあげた大内田葉月

デビュー戦で先制トライをあげた大内田葉月


主将の内海春菜子もトライ

主将の内海春菜子もトライ


永田花菜

永田花菜


いつも明るいサクラセブンズも逆転負けに浮かない表情

いつも明るいサクラセブンズも逆転負けに浮かない表情

続く2戦目は前回優勝のオーストラリア。ケープタウンでは5-36で敗れていた。日本はこの試合も前半、オーストラリアのエース、マジソン・リーバイらに3トライを奪われ0-19で折り返す。しかし後半は日本が反撃。相手キックオフがダイレクトになると、FKをクイックスタートした平野優芽がブレイク。PKを得るとまたクイックで内海が、またPKを得るとさらに梶木真凜がクイックを仕掛け、大谷芽生がトライ。11分にオーストラリアは1トライを返すが、日本は13分に松田向日葵のゲインからパスを受けた、こちらもワールドシリーズ初参戦の小西春菜が鮮やかなステップを切ってポスト下にシリーズ初トライ(須田C)。さらに14分には平野優芽がトライ。19-26とワンチャンスで追いつける7点差まで追い上げた。オーストラリアは次のキックオフを捕ると迷わず蹴り出して試合を終わらせたが、勝利したにも関わらず選手はみな青ざめた表情。日本の猛攻に茫然自失の表情だった。

梶木真凜

梶木真凜


庵奥里愛

庵奥里愛


小西春菜

小西春菜


大谷芽生

大谷芽生

日本は連敗したものの、2試合とも内容のあるトライを連発する手ごたえある試合だった。選手が取り組んでいる「分身」というテーマは、密集から球出しの際、SH役の選手が下がって「89」のような形を瞬間的に作ってオーバーラップを作るなど、意図的なテストにチャレンジ。細部のすり合わせがまだ不足しているのか、呼吸が合わずにチャンスを逃す、あるいはピンチを招く場面もあったが、新たなチャレンジをしながらトライを多く上げていた。

さらに、これがワールドシリーズデビューとなった大内田葉月(19)と小西春菜(21)もデビュー戦とは思えない活躍。小西は相手DFが反応できない鋭いステップでブレイクを重ね、大内田葉月はFWに入ってスクラムを組みながらボールが動き出せば司令塔をサポートしてアタックのリンクプレーヤーから突破役へ。マルチなタスクを遂行することでアタックのバリエーションを増やしていた。

大内田夏月

大内田夏月


大谷芽生

大谷芽生


須田倫代

須田倫代

ただし、世界上位8か国に絞られた今季のワールドシリーズ「SVNS 1」は実力均衡。プール最終戦はケープタウン7位のフィジーとの対戦だったが、開始直後に先制トライを献上。次の相手キックオフからのアタックではパスコースにレフリーが入ってしまう不運なプレーから自陣に攻め込まれ、連続失トライ。その後もフィジーの当たり強さ、スピードに翻弄された上、不運な判定も重なり終始劣勢。0-24と大きくリードされた後半、相手にシンビンが出たところから日本は反撃に転じ、10分に小西の前進から今季初ツアー参加の庵奥里愛が、15分には庵奥の突破から大谷芽生がトライを重ねたが、12-34で完敗。プールAは3戦全敗で最下位となると、DAY2初戦ではフランスに0-32の大敗を喫してしまった。

円陣

円陣


内海春菜子

内海春菜子


梶木真凜

梶木真凜


谷山三菜子

谷山三菜子

それでも最後、互いに今大会初勝利をかけた英国戦は日本の爆発。3分に小西のブレイクから庵奥が先制トライを挙げると、4分には大内田夏月のジャッカルで得たPKからの速攻で秋田若菜が鮮やかなカットインでブレイクし、約40mを快走してトライ。7分には大内田葉月もトライを加え、17−5取リードして折り返すと、後半も大内田夏月と葉月の姉妹連続トライなど4トライを加え、41−5で圧勝。7位で大会を終えた。次戦は2月7−8日のパース大会。

大内田夏月トライ

大内田夏月トライ


秋田若菜がステップを切って快走

秋田若菜がステップを切って快走


大内田葉月

大内田葉月


谷山三菜子

谷山三菜子



日本協会から発表された各選手のコメントは以下のとおり。


内海 春菜子 キャプテン

内海 春菜子 キャプテン

内海 春菜子 キャプテン


「日頃よりサクラセブンズの応援ありがとうございます。望んでいた結果ではなくとても悔しいです。2日間を通して難しい時間が多くありましたがそれと共に学びや気づきも多くありました。今回の結果から何を改善していくか、次の大会までに考えて、行動していきたいと思います。自分たちが取り組んでいることをしっかりまたチャレンジして勝ち切れるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いいたします。」

秋田 若菜

秋田 若菜

秋田 若菜


「今大会もサクラセブンズへの沢山の応援ありがとうございました!敗戦が続いてしまい、苦しい状況にはなりましたが、最後の7位決定戦ではサクラセブンズのラグビーを全員で体現できたと思います。目指していた結果ではありませんでしたが、今回出た課題にしっかり向き合い、目標達成できるように頑張ります。これからもサクラセブンズへの応援よろしくお願いします!」

庵奥 里愛

庵奥 里愛

庵奥 里愛


「シンガポール大会の応援ありがとうございました。私自身、1年ぶりのワールドシリーズになりました。またこの舞台に帰って来れたことに感謝しています。今回は私たちが望んだ結果ではありませんでしたが、今回の敗戦から改めて勝ち切ることがどれだけ難しいことか、そしてチームとして何が足りなかったのかという気づきを得ることができました。パース大会も1週間後に控えているので、ここからコンディションを上げ、もう一度サクラセブンズ全員で新たなステージへチャレンジしていきます。個人としてもチームが求めるパフォーマンスができるよう努力し続けたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします!」

大内田葉月

大内田 葉月

大内田 葉月


「今大会もサクラセブンズへの応援ありがとうございました。個人としてはワールドシリーズ初キャップとなり、とても嬉しく思います。結果は望んでいたものではありませんでしたが、初めてのワールドレベルの試合は1戦1戦が非常にハードで、自分自身の課題、そしてチームとしての課題が明確になった大会でした。この経験を今後に生かし、さらに成長していきたいと思います。引き続きサクラセブンズへの応援よろしくお願いします。」

小西 春菜

小西 春菜

小西 春菜


「今回、ワールドシリーズでデビューの舞台に立ち、本当に多くのことを感じ、学びました。世界の圧倒的なフィジカルとスピードにぶつかり、思うようにプレーできない時間もありましたが、チームメイトに支えられながら、今の自分のすべてを出し切ることができました。何よりラグビーが楽しかったです。これまで画面の向こうで見ていた世界に実際に立ち、世界と戦うことの難しさ、そしてサクラセブンズの強さと誇りを、身をもって感じました。この経験を必ず次につなげ、またこの舞台で、勝利に貢献できる一つのピースになれるよう、全力で挑み続けます。日本の皆さん、そして世界の皆さん、サクラセブンズへの熱い応援を本当にありがとうございました!」

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。

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