サクラセブンズ復調の兆し―カナダとフランスに迫る!ニューヨーク大会は6位に | ラグビージャパン365

サクラセブンズ復調の兆し―カナダとフランスに迫る!ニューヨーク大会は6位に

2026/03/17

文●大友信彦


HSBC SVNS 2026第6戦ニューヨーク(NY)大会が14-15日、米国ニュージャージー州のスポーツイラストレイテッドスタジアムで行われた。

今季のワールドシリーズは3ディビジョン制で行われ、日本は昨季の成績から最上位のSVNS 1に参加。この第6戦までがレギュラーシーズンと位置付けられていた。

日本の登録メンバーは以下の通り。

(1)三枝千晃 北海道バーバリアンズディアナ(35)
(2)堤ほの花 日体大(39)
(4)内海春菜子 YOKOHAMA TKM(24)
(5)大谷 芽生 ながとブルーエンジェルス(37)
(6)永田 花菜 ナナイロプリズム福岡(37)
(7)吉野 舞祐 ナナイロプリズム福岡(26)
(9)松田向日葵 追手門学院大学VENUS(11)
(13)大内田夏月 Pearls(5)
(14)須田 倫代 Pearls(26) ◎
(19)大内田葉月 日体大(3)
(21)庵奥 里愛 Pearls(7)
(22)尾久土 栞 早稲田大(1)
※頭数字は背番号、カッコ数字は直前までのキャップ数、◎は主将、


前週のバンクーバー大会から梶木真凜、谷山三菜子の2人が外れ、バックアップメンバーだった大内田夏月と庵奥里愛に交代。また、当初登録された(17) 小西 春菜 追手門学院大(4)はコンディション都合により登録抹消、サクラセブンズは登録人数ギリギリの12人で大会に臨んだ。

第1戦 ×7‐47オーストラリア

日本は開始直後、須田のキックチェイスで相手陣に侵入するが、カウンターアタックを浴びて先制トライを献上。その後、堤ほの花の快走、永田花菜のブレイク、大谷芽生のビッグタックルによるターンオーバーから大内田葉月が独走するなど見せ場を作るがトライを取り切れず前半は0-21。後半も2トライを奪われ、0-33とされるが、次のキックオフを捕った内海春菜子からホップパスを受けた永田花菜が切れ味鋭く抜け出し60mを独走。シリーズ通算19号トライで7-33とする。しかし残る3分間、オーストラリアはサイズとスピードのアドバンテージを活かして2トライを追加。日本は7-47で敗れた。

大内田夏月のキャリーを妹・葉月がアシスト

大内田夏月のキャリーを妹・葉月がアシスト


永田花菜

永田花菜


大内田葉月

大内田葉月


第2戦 ×0‐47アメリカ

第2戦の相手はバンクーバー大会3位でポイントランクも3位につけるアメリカ。日本はキックオフから相手陣に入り、堤ほの花が相手ゴールに迫るがオフロードパスが惜しくも繋がらず先制トライのチャンスを逃す。その後は守勢に回るが、相手アタックを大谷芽生と大内田葉月が2人がかりのチョークタックルで止め、自由を奪ってターンオーバーを勝ち取るなど、従来の日本にはなかった強さも披露。スコアレスの拮抗した戦いが続いたが、残り2分、相手19トマスの爆弾タックルが日本①三枝の落球を誘い、そこからアメリカは一気のカウンターアタックで先制。さらに日本のラインアウトミス、自陣でのノックオンというミスからアメリカが2トライを加え前半は0-21。

大きくリードしたアメリカは地元の大声援を受けてさらに奮起。日本のアタックを強いコンタクトでプレッシャーをかけて潰し、ボールを奪っては4連続トライ。日本は0-47で敗れた。

永田花菜のタックル

永田花菜のタックル


大谷芽生の突破

大谷芽生の突破


突破を図る堤ほの花

突破を図る堤ほの花


突破を図る須田倫代

突破を図る須田倫代


第3戦 〇31‐19カナダ

プール3戦目の相手はバンクーバーの5位以下戦準決勝で終了直前12-19でサヨナラ負けしたカナダ。日本は前半、カナダに先制トライを奪われるが、4分に大谷芽生のブレイクから内海春菜子が繋ぎ、三枝千晃が豪快にトライ。さらにPKからのクイックスタートで永田花菜がシリーズ通算20号となるトライを奪い、14-7と逆転して折り返す。

後半は相手キックオフを内海春菜子がリターン、須田倫代がラックを作るとその右サイドを大谷芽生が素早く突破。カナダDFの追走を巧みなコースチェンジで振り切り60m独走トライ。カナダも昨年の太陽生命シリーズ・東京山九フェニックスで活躍したチャリティー・ウィリアムスのシリーズ通算111号トライで(太陽生命シリーズでもおなじみになった回転トライ!)追い上げるが、日本は大谷芽生-松田向日葵-永田花菜が内に入ってDFを止めて外に繋ぐという息の合ったコンビネーションで外のスペースを攻略。1トライを返されたあとの終了直前には須田倫代主将が自陣から得意のステップワークで相手DFを抜くと約60mの大逃げを決めてトライ。31-19でバンクーバー大会の雪辱を果たした。

サクラセブンズは、DAY 1は1勝2敗でプールA 3位。バンクーバー大会までの3大会ではやや後手を踏みがちだったディフェンスの出足で鋭さを取り戻し、アタックでも積極的に前に仕掛ける姿勢が復活。ドバイ大会以来の4強入りはならなかったが、DAY 2での躍進が期待された。

内海春菜子

内海春菜子


三枝千晃

三枝千晃


尾久土栞

尾久土栞


チャリティー・ウィリアムスにタックルする大内田葉月

チャリティー・ウィリアムスにタックルする大内田葉月


DAY 2 5位以下戦準決勝 〇31‐14英国

5位以下戦準決勝の相手は今季6戦全勝の英国。バンクーバーではプール戦で31-7、7位決定戦で34-19で連勝している。

日本は試合開始のキックオフを蹴ると、これが2キャップ目の尾久土栞が思い切りよく出てタップしてキープに成功。ここから吉野舞祐-内海春菜子-須田倫代とつなぎ、再びボールを持った吉野がキックオフから約20秒の秒殺先制トライ。直後にはスクラムから須田主将が得意のステップで相手DFを突破してシリーズ通算25号トライ。日本が12-0とリードするが、今季シリーズ初勝利を目指す英国はそこから反撃し、自陣からのロングアタックで2トライを返し、前半は英国が14-12とリード。ハーフタイムの円陣では「ここからはビッグな7分間だよ!」の檄が聞こえた。

しかし日本は焦らなかった。後半2分、自陣での味方の低いパスを須田は手で捕らずに足でトラップ。この動きに一瞬足の止まった英国DFの虚をつく形で走り出した須田が50mを独走して逆転トライ。日本はさらに松田向日葵、庵奥里愛がトライを重ね、31-14で勝利した。

吉野舞祐

吉野舞祐


吉野舞祐_トライを決めて

吉野舞祐_トライを決めて


内海春菜子と庵奥里愛

内海春菜子と庵奥里愛


松田向日葵

松田向日葵


5位決定戦 ×15‐19フランス

最後の5位決定戦はバンクーバー大会4位のフランスが相手。バンクーバーでは初戦で0-22と完敗した相手だが、日本は前半4分、相手の落球を拾った④内海春菜子からパスを受けた⑲大内田葉月が一期の加速で相手DFを振り切り先制トライ。5分には大谷芽生のビッグタックルで相手落球を誘い敵陣侵入に成功。ここでは相手DFにターンオーバーを許したが、6分にこぼれ球を奪うと、大内田夏月から大外に位置した妹・葉月へ阿吽の呼吸の姉妹ロングパスが通り連続トライ。さらに8分には三枝千晃がトライライン手前で相手につかまりながら体をひねってねじ込みトライ。今季3戦全敗の相手に15-0とリードを奪って折り返した。

日本の攻勢は後半も続き、3分には自陣で内海-須田-内海のループプレーを2度連続で決めるなど、今季取り組んできた「忍者アタック」「分身の術」にトライ。しかし、左サイドでフリーになった大内田夏月へのパスがスローフォワードになり逸機。1トライを返された6分には自陣ゴール前のPKから庵奥がクイックスタート、吉野-須田とつないで相手ゴール前5mまで迫ったが、ここで孤立してしまいターンオーバーを許すとカウンターアタックを浴びて逆にトライを奪われ15-14と迫られる。それでもあと40秒我慢すれば勝利する日本だったが、ブレイクダウンで痛恨の反則。ここからフランスの攻撃を浴び、守り切れずにトライを許し、15-19で逆転サヨナラ負け。

大内田葉月

大内田葉月


三枝千晃

三枝千晃


大内田夏月

大内田夏月


庵奥里愛

庵奥里愛

日本は惜しくも5位を逃したが、バンクーバー大会から順位をひとつあげ、パース大会以来の6位。シリーズポイント10を加えたが、4強入りしたフィジーにポイントで追いつかれ64で同点、シーズンランキング6位タイとなった(勝ち数では日本が、得失点差ではフィジーが上)。

ドバイ大会で男女・7人制と15人制を通じ日本ラグビー史上最高順位となる3位となる絶好のスタートを切ったサクラセブンズだったが、その後の5大会では一度も4強入りを果たせずにレギュラーシーズンの6大会を終了。NZには3戦、オーストラリアには4戦して全敗だっただけでなく、ランキング3位のアメリカにも3戦、同4位のフランスにも4戦して全敗。アメリカにはシンガポール大会の初戦で、フランスには今回の最終戦で、ともに前半に大きなリードを奪い勝利のチャンスを得ながら後半のラストプレーで逆転されるという悔しい負け方だった。

それでも、今季のアジアシリーズで小西春菜、大内田夏月、大内田葉月、サバナ・ボッドマン、長谷部彩音が、ワールドシリーズで山田晴楽、尾久土栞がサクラセブンズデビュー。2028年LA五輪までの長い道のりを考慮し、層を厚くするために選手をローテーション起用。若手に経験を積ませながら、中軸選手の平野優芽、梶木真凜、堤ほの花らが不在となった布陣でも世界の強豪と互角に近い戦いを演じたことを考えれば、勝敗や順位以上に価値ある経験を積んだといえそうだ。

今季から導入されたHSBC SVNSワールドチャンピオンシップは4月17-19日の香港セブンズで開幕。5月29-31日のバリャドリッド(スペイン)、6月5-7日のボルドー(フランス)の3大会で争われる。SVNS 2から参戦する4チームは3月28-29日のサンパウロ大会まで3大会の獲得ポイントで決まる。

日本協会から発表されたHC/選手のコメントは以下の通り。

兼松由香 HC

兼松由香HC

兼松由香HC


「時差がある中、各地から温かい応援をいただき、ありがとうございました。ドバイ大会での3位入賞以降、さらなるブレイクスルー(トップ2への勝利)のために、新たな挑戦を続けてきました。今大会はその集大成として、チームの進化を実感できた一方で、一つひとつのプレーが持つ重みを改めて痛感する大会となりました。世界トップ8の舞台を多くの選手が経験できたこと、そして、その舞台で本気で悔し涙を流せるまでに成長を遂げたことを、とても嬉しく、心強く感じています。変化を恐れず、進化を信じて、困難な道を走り続けてくれた選手・スタッフ全員を誇りに思います。来月から始まるワールドチャンピオンシップに向け、この6大会で得たすべての経験をサクラセブンズの新たな力へと変える準備を進めてまいります。引き続き、サクラセブンズへの応援をよろしくお願いいたします」

須田倫代 キャプテン

須田倫代 キャプテン

須田倫代 キャプテン


「今大会も時差のある中、沢山の応援をありがとうございました。サポートしていただいたスタッフ、体を張り続けてハードワークし続けた仲間を誇りに思います。悪い流れを断ち切ることができた試合もありましたが、最後の最後で勝ち切ることができませんでした。全員で繋がり続け、動き続けるAT、DFは日本の武器だと思うので、もう1度こだわりの部分を修正し、どの相手、時間帯にも日本のラグビーが体現できるようにしていきたいです。これからチャンピオンシップが始まるので、チームとして進化し続けられるよう、勝ち切れるよう励んでいきたいと思います。今後ともサクラセブンズの応援をよろしくお願いします」

大内田夏月

大内田夏月

大内田夏月


「サクラセブンズへの応援ありがとうございました。今大会は、一人ひとりがチームに必要な声を出し、流れを変えるプレーをする『マスタースイッチ』を全員が押せるように、チームとして練習から良い準備をしてきました。しかし、試合では勝ち切ることができませんでした。個人としても、うまくいかないことが多く、悔しさの残る大会となりました。この悔しさをバネに、もっと成長し、勝ち切れるチーム、そして勝ち切れる選手になれるよう努力していきます。これからもサクラセブンズの応援をよろしくお願いします。」

大内田葉月

大内田葉月

大内田葉月


「いつもサクラセブンズへの応援ありがとうございました。今大会はチームの主体性を大切にし、選手から積極的に発信していくことを意識して臨みました。お互いに声を掛け合いながらプレーすることはできましたが、最後の部分で勝ち切ることの難しさを改めて感じました。今大会で得た学びを継続し、次の大会につなげていきたいと思います。今後とも応援よろしくお願いいたします」

松田向日葵

松田向日葵

松田向日葵


「時差もある中、たくさんの応援を本当にありがとうございました。大会期間を通して声をかけてくれた仲間、支えてくださったスタッフの皆さん、そしていつも応援してくれている家族に感謝しています。今大会も一試合一試合から多くの学びがありました。特に最後の試合は前半リードしていながら逆転負けとなり、とても悔しい結果でしたが、勝ち切るために必要なことを改めて考えさせられる試合になりました。この悔しさと学びを次につなげていきます。引き続き応援よろしくお願いします」

吉野舞祐

吉野舞祐

吉野舞祐


「時差もある中、たくさんの応援ありがとうございました。今大会は、選手たちが主体となって練習や試合に向けて準備することができた大会でした。選手全員が繋がって勝ち切れた試合も勝ち切ることができなかった試合もあり、どの相手にも14分間サクラセブンズのラグビーを体現することが重要だと改めて感じました。次のワールドチャンピオンシップに向けて、負けられない戦いが続くので、今大会で出た課題を持ち帰って更にレベルアップできるように頑張ります。引き続き応援のほどよろしくお願いいたします」

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。

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